今から遡ること30年、1986年にみなさんは何をしていましたか? まだこの世に生まれていなかったというスケーターも多いことでしょう。自分はというと、スケートに出会って1年が経過したところでした。トリックが存在することも知らずにひたすらプッシュやダウンヒルだけをしていた時代。そんな頃、カリフォルニアのオーシャンサイドに特設された“チンランプ”と呼ばれる巨大なバーチカルでは、スケート史に刻まれるとある写真が撮影されていました。その写真とは、1987年にリリースされたPowell Peraltaの名作『The Search for Animal Chin』にも収録されたワンシーン。スケーターであれば一度は目にしたことがあるはずの1枚です。トニー・ホーク、ランス・マウンテン、スティーブ・キャバレロ、マイク・マクギルの4名がスパインでシンクロして魅せるインバート。まだ12歳だった頃、自分もその写真のポスターをベッドルームの壁に貼っていたのを今でも覚えています。
それから30年後、4名が再び一堂に会してその写真を再現するという企画が実現しました。当時と同じ“チンランプ”を再びこの企画のために特設し、30年振りにインバートをシンクロさせるという試み。フォトグラファーは当時と同じグラント・ブリテン。1986年は10分で撮影完了していたものが、30年後となるとプレッシャーも伴いそこそこ時間がかかったとのこと。
オリジナルの写真は、スケートにトリックというものが存在することを知り、自宅前でひたすら練習していた頃に出会った思い入れのある1枚。このワンシーンが再現されたものを観ることができるのは、懐かしさも感動もひとしおといったところです。それにしても、30年経っても同じトリックを変わらない精度の高さで披露できるとは……これこそ、彼らがレジェンドと呼ばれる所以でしょう。
–MK