『A LIFE IN TRANSITION』。これはElementの専属フォトグラファーとして活動するブライアン・ゲーバーマンが、2006~2013年の間に同カンパニーに所属する面々や、ツアー先などで出会った風景を収めた写真集です。個人的に好きなフォトグラファーということもありますが、この写真集のクオリティの高さは半端ではありません。判型も従来のスケート関連の写真集では珍しく大判で、陰影の強いモノクロ写真から淡いカラー写真まで、美しい作品がぎっしりと詰まっています。しかも、まったくの白紙のページが所々に挿入されており、効果的に、じっくりと一息おきながら作品を楽しめるようになっています。
2012年にElementチームとともに来日を果たした際に、Intersectionという企画でゲーバーマンと平野太呂の対談をさせていただいたのですが、その中でゲーバーマンはこう言っています。「スケートフォトグラフィを学んできた中で行き着いたのは、被写体であるスケーターがフレームにいなくても美しい作品として成立する写真を撮るということ」。その言葉通り、スケーターがフレームアウトしても良質な作品として成立され、構図や背景の大切さを改めて実感する作品ばかりです。
『A LIFE IN TRANSITION』は是非ともチェックしていただきたい写真集です。国内での販売は未定とのことですが、どうにか入手して良質な写真の数々を堪能してください。そして、実はスケートフォトグラフィがこんなに美しい作品になり得るということを感じていただければと思います。
–MK