YouTubeをはじめネット環境が充実してくれたおかげで、ほぼほぼ昔の有名スケート動画がチェック可能になりました。最高です。とはいえ、面倒な行程を経てマイナーなパートをアップロードする物好きは限られているので、まだまだ埋もれているイカした(れた)スケーターも大勢いるかと思います。野球で言うところの、エースやクリーンナップといった花形プレイヤーではない、いわゆる中継ぎ陣や補欠まではチェックしきれていないというか。とはいえ、そんな彼らの存在もまたスケートヒストリーを形成する大事な欠片です。
ブラッド・ヘイズ(Brad Hayes)と聞いて、フェイキーマニュアルを想起したアナタは完全なスケートオタクです。411VMのIssue #2のオープナーにして、フェイキーマニュアルからのフリップアウトを披露し一躍有名になったあの人。’90年代前半当時としては時代の先端を行く、斬新なマニュアルトリックや縁石技をふんだんに出していたのですが、比較的マイナーなチームに所属していたというか、実力的にはもっと評価されても……的なスケーターのひとりです。ひょっとするとスピードが遅すぎなのと、お世辞にもスタイリッシュとは言えない動きの固さとかも関係していたのかもしれません。一言でいうと少しギコめなスケーターだったのですが、インパクトがあるというか、どうしても気になるというか、不思議な魅力を持ったお方です。シャツのサイズ間違ってないか!? とかツッコミどこ満載なのもまたクセになりがち。
そんなブラッドさんはカリフォルニアのファウンテン・ヴァレー界隈出身で、ジェイソン・ディルとは仲良しで、何度か一緒にいるところを見かけました。スケート的な特徴は言うまでもなくフェイキー系のトリックの完成度とレパートリーの多さ。個人的に気になっていたスケーターのひとりでもあるので、変化の激しい’90年代においてもできる限りチェックはしていたものの、初期のBakerのビデオに出ていたのを最後に行方不明です。風の噂では、格闘技かなにかを始めたようですが定かではありません。411VMを食い入るように観ていた世代のスケーターの中には、ひょっとしたら思い出してくれる人もいるかもしれませんね。ということで、ブラッド・ヘイズの動画をいくつか貼り付けてあるので気になる人はどうぞ。ACMEのビデオはフルですが、17:03あたりから登場します。フェイキーマニュアルの安定感、今観てもヤバい。
余談ではありますが、ブラッドさんはアフタースケートには“TWO BROTHERS PIZZA”というピザ屋に足繁く通っていたようです(まだあるっぽい)。なぜそんな小ネタを知っているかといいますと、ピザ屋の数軒となりにあるスーパーのレジ裏で客のグロッサリーを袋詰めしながら窓越しにその様子を眺めていたのが、他でもなく自分だったので……。ちなみにそのバイト先をファイヤー! になった理由は聞かないでねw
–KE