それはまるで竜巻と海兵隊のマッシュアップ。仕事柄、名だたる著名プロスケーターにお目にかかる機会に恵まれているのですが、この人を見たときは目から鱗が落ちました。スピードとボードコントロールとメイク率のスケート三大要素を持ち合わせた男、その名もGX1000ではなくクリス・セン。1995年のSOTYに輝いたMr. オールラウンダーで坊主頭がトレードマークの若干キアヌ・リーブス似。え、なに、そんなオジさんは知らない? 「てか’95年とかまだ生まれてないし」。なんてガキ共はほっといてクリスさん話の続きですが、Powell Peraltaからデビュー後、自分の知る限りChannel One、Toy Machine、Adrenalin、Blood Wizardなどでライダーとして活躍。コンテストもビデオパートもつねにギンギンで攻める唯一無二のウォリアー。ひとたびデッキに乗ったら神風スタイルといいますか、おそらく次にどんなトリックをやるかなんて考えないでアドリブでやっているはず。体勢が崩れようがどうなろうが意地でも乗りこなす、いわゆる“乗れてる”男。バート、プール、レール、ギャップ、ダウンヒルまで、どのテラインでもフルプッシュは本物のスケートボーダーの証。遺伝子組み換えが可能になろうが、仮想通貨が主流になろうが、STAP細胞が証明されようが、この人の滑りは決して色褪せない。いや、むしろ彼の偉大さは時間が証明してくれることでしょう。「てか、昨今の東海岸だNYだのスモールブランドっていえば無条件でお洒落みたいな風潮はなんなんだ? しかもほとんどNYが地元じゃないだろう。ついでにいつから土臭い鼻息荒い系スケーターが敬遠されるようなオカマスケートシーンに成り下がりやがったんだこのハゲぇー!!」と、友人のヤ●マーが言っております。
そんなクリスさんですが、いまはスケートの第一線からは退き、タトゥーアーティストとしてご活躍されているそうです(タトゥーを彫るのもフルプッシュだとか)。なにしろ今すぐフルプッシュしたくなる衝動をおさえきれなくなるスケート伝道師のハイスピード動画をご覧あれ。「クリス・セン、ナムセ〜ン!!」
─KE