Interview by VHSMAG, Photos courtesy of Matt Fellows, Special thanks: Element Japan
VHSMAG(以下V): アートとの出会いから教えてください。
Timber!(以下T): ガキの頃に絵を描いたのが最初。プロじゃなかったけど両親も絵を描くのが好きだった。母親はずっと絵を描き続けていたけど、オレは12歳の頃にスケートを始めたんだ。そうなると絵を描くどころじゃなくなる。それからはスケートオンリーの毎日。真剣にスケートを続けたのは15年ほどかな。それから歳を重ねるとともにまたアートにハマったんだ。スケートとアートには共通点があるから。今はスケートで感じる達成感をアートを通して感じている。
V: アーティストとして影響を受けるものは?
T: まだ学生の頃は家を出てひとり暮らしをしたかったから、スクリーンプリントのバイトを始めたんだ。仕事の流れを身につけると同時に、どぎつく大胆に描いた作品のほうがプリントしやすいことを知ることができた。だから大胆なスタイルでモノクロの絵を描くようになっていった。これが一番の影響かな。その他にはペンとインクのイラストレーターや版画。日本の版画もかなりクールだと思う。基本的に絵筆やインクペンで描くのが好きだ。絵を描く作業には癒やし効果があるんだ。だから影響を受けたのは特定のアーティストというよりも手法だということだね。
V: Timber!名義で活動し始めたのは?
T: Timber!はオレが立ち上げたスモールブランドの名前なんだけど、今ではオレの名称みたいなものになっている。Timber!というブランドを立ち上げたのは12年ほど前で、キャラクターをデザインに落とし込んでいた。ストーリー性のあるアートを表現するブランドなんだ。他にもいろんな手法の作品を作っているけど、このTimber!のスタイルが一番有名だね。
V: Timber!(※「倒れるぞ!」という木を倒すときの掛け声)という名前だけに木彫りに影響を受けている印象があるけど。
T: そうだね。初めはそうでもなかったんだけどね。木彫りについて何も知らなかったんだけど、絵を描くにつれて黒の陰影が好きなことに気づいたんだ。そうして自然と木彫りのようなスタイルが構築されていって、後になって木彫りについて知って「なんか似ているな」と思うようになった。だからこのスタイルは偶然の産物なんだ。
V: 創作するときに心がけることは?
T: それはプロジェクトやコレクションによるけど、作品を通してストーリーを伝えるように心がけているかな。後は裏テーマを用意するようにしている。どんなに小さなデザインでもストーリーがなければダメなんだ。
V: アーティストとしてスケートインダストリーで働くようになったのは? Elementがきっかけだったの?
T: ある意味そうかもしれない。カリフォルニアでスケートをしながら育つと、身近にスケートインダストリーで働く仲間がいることが多い。でも最初に作品を提供したブランドはATMだったんだ。
V: ゴンズとジョン・ファラヒーが始めたATM?
T: そう。詳しいね…よくジョン・ファラヒーという名前を知っているね…(笑)。オレはその息子と友達でボードグラフィックを提供したんだ。ATMはまだ続いているよ。オーナーと家族ぐるみの付き合いってこと。その後にATMの別のアーティストがElementのアートディレクターになったんだ。10年ほど前の話。彼のことはよく知らなかったけど、オレのことを知ってくれていた。その頃、オレはちょうどTimber!のブランドを始めて、Elementでインターンをしている仲間もいた。オレの作ったTeeをそのインターンが着ていて、それが元ATMのアーティストでElementのアートディレクターの目に留まったんだ。そうして彼に呼ばれて、それ以来Elementと仕事をしているってわけ。
V: ElementからSink or Swimと題したコレクションがリリースされたばかりだよね。
T: ラフティングがテーマなんだ。空気を入れたら水に浮かぶ防水バッグを作った。面白いコレクションだよ。プロモビデオの撮影でも湖に浮かべて使ったんだ。とてもクール。そして、他にもストーリーを伝えるグラフィックを採用したアイテムがある感じ。川での遊びを楽しめるコレクションになっている。
V: あのプロモビデオは良かったね。ではアーティストとして喜びを感じる瞬間は?
T: 何かを想像してそれが現実になること。それが一番うれしいね。
V: 頭の中はアイデアでいっぱいのようだね。
T: そうだね。もっと時間があればさらに想像を形にしたいんだけどね。特にElementとのコラボは回を重ねるにつれて良くなっている。この10年で信頼関係も築けたからやりたいことができるようになっているんだ。
V: ちなみに今回の来日はプライベートなんだって?
T: そうだね。旅先で誰かと何かができればいいと思うんだ。日本のElementがウェルカムパーティを開催してくれて、Bashi Burger Chanceで壁画を描いた。結構大きい作品。本番2分前にスケッチを描いて、そのまま壁に向かった感じ。あれは楽しかった。
V: Sink or Swimコレクションの後の予定は?
T: この先はElementからふたつのコレクションが出る。3つ目も今ちょうど進めているところ。だから毎シーズン、コレクションをリリースできていることになっている。次のコラボはPioneersコレクション。その次のコレクションがお気に入りでPaintersコレクションというんだ。これはハウスペインターをテーマにしたコレクション。アメリカンスタイルのオーバーオールとかが出る予定。その後は現在進行系だけどオレが手がける模様がテーマ。だからElementからたくさんコラボが出続ける感じ。旅を続けてヨーロッパにも行く予定。秋にはアメリカで個展もあるから大忙しだね。
カリフォルニア出身。本名チャド・イートン。木彫りや版画を彷彿とさせるスタイルで知られるアーティスト。活動の場は主にヨーロッパ。ElementからSink or Swimと題した彼のコレクションがリリースされたばかり。
chadeaton.com