秋田市の中心地にある秋田市文化創造館を管理する三富章恵さんという方のnoteの記事が興味深いので、今回はそちらを紹介させていただきます。
記事のプロフィールには、2021年3月の開館以来、秋田市文化創造館の敷地を利用するスケーターたち。多くの公共の場所では禁止(排除)されてきたスケートボードに関わる、当事者や関係者、地域住民とのやり取りから見据える「公共のあり方」。現在進行形の思考の過程をまとめています。とあるように、敷地に集まるスケーターを排除しないためのさまざまな取り組みが中心になっています。
秋田市文化創造館の敷地内で滑るスケーターたちに場所を提供するためには、乗り越えなければならない諸問題があります。それは騒音だったり板が流れてしまう危険性だったり、ゴミや施設の破損などさまざま。それらの問題に向き合いつつ試行錯誤する様子が描かれているのですが、文化や多様性に関する著者の進んだ考え方に胸を打たれます。
その例をいくつか例を紹介すると、
“ 「スケートボードは迷惑行為」とレッテルを貼って排除しようとする風潮があることは、なんだか健全なコミュニティのあり方とは思えず、自分が知らないもの、自分にとって異質なものをどう拒絶・排除しない寛容さをまちに広げていくことができるか ”
“ 私たち指定管理者は、文化創造というミッションを負って館の管理を担っているのだから、自ら率先して文化創造の可能性を否定する「禁止」は何に対してもしてはならない ”
“ 迷惑行為があれば、それは解決すること。また、スケボーやスケーターに対する偏見を助長しないような働きかけを行うこと ”
などなど、スケーターでない著者がこのような考えを持ってスケーターのための問題解決に取り組んでくれていると思うとグッと来ます。
オリンピック前後から、ストリートスケートに対する記事は数多く出るようになりました。その内容はスケーターに対してネガティブなものがほとんどなのですが、施設の管理側の人間がスケーターと共存するために奮闘してくれるというものは極めて稀。自分たちはスケーター側の目線で物事を考えがちですが、施設を管理する側の立場や考え方を知ることができる内容になっています。
これまで17回更新されてきた記事では、スケートボードを容認するための取り組みとそれに伴うさまざまな問題とその解決案を示しているのですが、「まだゴールにはたどり着いていない」とあります。“すべての人に場を開く”という文化創造館の理念と実務の間でどうやって落としどころを見つけるのか…今後もこの記事を注目していきたいと思います。
--TM