盲目スケーターとして注目を集めるミシガン州出身のスケーター、ダン・マンシーナ。彼が数千人にひとりの割合で起きるという目の疾患、網膜色素変性症と診断されたのは13歳の頃。
生まれながらにして盲目というわけではなく、徐々に視力が低下。つまり、“盲目スケーター”以前に普通のスケーターだった時代があったということ。確実に視力を失っていくと知りながら続ける生活にどれほどの恐怖や不安が伴うのかは想像すらできませんが、現在の彼は95%の視力を喪失。わずかに光を感知できるくらい。
スケートから離れて失望のどん底に落ちた時期もあったそうですが、健常者と同じ生活ができるということを証明するためにインスタを通してさまざまな試みを実践。ダーツだったり、卓球だったり。そして、もしかすればスケートもできるんじゃないかとトライして今に至る。
まずは白杖で周囲の環境を頭に叩き込む。地面の継ぎ目を利用して自分の位置を確認し、レッジやギャップなどの高さや幅を把握。そして白杖を使ってオブスタクルとの間合いをはかりながらテールを叩く。トリックをメイクするまでのプロセスは健常者のそれよりも遥かに大変。これはかなり逆説的ですが、スケートをしているときだけは自分が視覚障害者であることを忘れられると話しています。
現在は視覚障害を持つ子供たちにスケートボードの楽しさを伝える活動をしながら、視覚障害者フレンドリーなスケートパーク建設を実現させたいとのこと。この先、コースに“ハンドレール”ではなく“手すり”が設置してあったり、自分の位置を把握できるように地面にわずかな継ぎ目を設けられていたり、セクションが光や音を放ったり。新しい形のパークが登場するかもしれません。
ということで、視覚障害に苦しむ前と後のマンシーナのビデオパートをチェック。人間の持つ無限大の可能性に目が眩んでしまいます。
--MK