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スタイルの権化
──CHRIS MILLER

2020.08.13

 バートが好きです。と言っても、滑るほうではなく観るほう。'88年にはシアトルで開催されたGotcha Grindというバートコンテストで錚々たるトッププロのバトルを観戦したことも。'90年代には大阪のアスコットというパークで「アゴロー」こと野田敏行のスタイリッシュなリップトリックや「キャバ」こと大村 滋のマックツイストなんかを見ながら震えた思い出もあります。自分がスケートを始めたのがバート全盛の時代だったので、それなりに思い入れがあるわけです。
 というわけで今回ご紹介したいのが、プール/バートスケーターのクリス・ミラー。'85年にG&Sのプロに昇格し、のちにSchmitt Stixの看板ライダーに。当時リリースされたプロモデルは、スケート史上初めて長いノーズを採用した画期的なモデルとして知られています。バートで初めてBsリップスライドをやったのもこの人。'90年代にPlanet EarthやAdioを立ち上げた実業家でもあります。トランジションを滑り出したら途切れることなく水のようにきれいに流れ続ける。空中でもリップでもトリックのシルエットはピカイチ。この人こそスタイルの権化。特に『Now N' Later』のビデオパートの渋さは神レベル。
 そもそも現代のレッジトリックの原型はバートのリップトリックなので、'80年代のバートスケーターは無条件でリスペクト。バートに興味がないというストリートスケーターもとりあえず彼のスケーティングをチェックしてください。卓越したスタイルとは、時代やジャンルに関係なくひと目見ればその素晴らしさが伝わる普遍的なものであるはずです。

--MK

 




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