ノーズグラインドをやや斜めに歪ませたトリックがクルキッドグラインド。クルキッドとは「曲がった」とか「歪んだ」という意味。つまりこれは見た目で命名されたトリック。Kクラインドとも広く呼ばれていますが、この「K」とはエリック・コストンの名字の頭文字が由来。しかし、実はコストンはこのトリックの発案者ではありません。
中年スケートナードにとっては説明するまでもない話かもしれませんが、初めてクルキッドグラインドを編み出したとされているのは'90年代初頭のH-Streetに所属したダン・ペターカ。ダブルサイドカーブでノーズグラインドのポップオーバーをしようとしたときに生まれたとのこと。当時はポインターグラインドと呼ばれていました。これはペターカ・ポインターグラインドを省略したものです。
ちなみに1991年にウェイド・スパイヤーがSFのハバハイドアウトでクルキッドグラインドらしきトリックをメイクしていますが、当時はまだノーズグラインドと呼ばれていました。なので厳密には、ウェイドがノーズバンプのような形で偶然クルキッドグラインドを初めてメイクし、ペターカが意識的に発案し、コストンが広めたというのが正解のようです。
なにはともあれ、クルキッドグラインドの誕生を収録したH-Streetの『Next Generation』(1992年)のダン・ペターカのパートは隠れ名作。時代を先取りしたペターカの滑りをどうぞ。
--MK