先日、渋谷パルコ2Fで開催中の個展“HAROSHI FREE HYDRANT CO”を観てきました。文字通りHaroshiのアートショーなのですが、今回フィーチャーされたのは廃デッキで創作したスカルプチャーではなく消火栓のインスタレーション。会場にはブロンズで制作された消火栓に加え、世界中から集められた無数の消火栓のポジが展示(その数に唖然。どうやって集めたんやろか?)。
消火栓は火災時に水を供給する単なる設備ではなく、スケーターにとってはスポットとして機能する馴染みの深い物体。特にアメリカのスケートビデオで誰でも一度は目にしたことがあるはずです。そんなことを考えながら、数百と並ぶポジを眺めてまっさきに思い浮かんだのが『Streets on Fire』('89年)でナタス・カウパスがナタススピンを披露したヴェニスビーチの黄色い消火栓。スケートコミュニティではこれが世界で一番有名な消火栓だと思います。ちなみにナタススピンとは、消火栓のてっぺんにデッキの腹をかけ、そのままスピンするという奇天烈トリック。おそらく本人は遊びでやったトリックで、30年以上経った今も語り継がれることになろうとは思っていなかったはず。
ということで、展示会場でさっそくナタススピンの映像をiPhoneでディグり、それと照らし合わせながらヴェニスビーチの黄色い消火栓探しを開始。色も形状もさまざまで、表情豊かな消火栓をひとつひとつ観ているだけで想像力が膨らむ膨らむ。
'80年代後期に伝説化したアイコニックな消火栓。こちらの個展の会期中に会場で探してみてはいかが?
--MK