スケートコミュニティは波乱万丈というかメチャクチャな人材の宝庫。人間的に最悪なスケーターはシーンから淘汰されていくのが世の常ですが、愛される類はコミュニティの一員としていつまでも語られ続けています。フレッド・ガルはその後者の典型。
'90年代からフィリーのLOVEパークやSFのハバハイドアウトで数々のNBDを残してきたスケーター。酒やドラッグが大好物で、これまでに残してきた伝説も多数。バルセロナでは宿泊先の部屋を破壊して100万円以上の請求をされたり、酔っ払ってホテルの従業員と取っ組み合いになり逮捕されたり。税金を滞納して(800万円以上)大問題に発展するも世界中のスケーターの寄付で危機を乗り越えたり、カンボジアでバケツをヘルメット代わりにして大火事の修道院に取り残された人たちを救助したり。
『Eastern Exposure 3』のジェリー・フィッシャーのパートに収録されたギャップオーバーの50-50(GIF参照)にも逸話が。撮影当時は朝までコカインを吸いまくり、そのままさらにコカインを買いに外へ。しかしそこで売られたのはコカインではなくクラック。「まあ、いいか」と家に戻って吸引し、いても立ってもいられずLOVEパークへ。つまりかの有名な50-50はぶっ飛びながらメイクしたということ。
ぶっ飛んでトライしたため、まったくメイクした記憶がないフッテージに驚くこともあったそう。決して真似すべきことではないし褒められたことでもありませんが、このような背景を知って観る彼のパートはひと味もふた味も違います。ちなみに現在は酒もドラッグも断って5ヵ月。舞台のペンキ塗りの仕事をしながら週末に滑るという健全な生活を送っているようです。ともなれば、近いうちに新しいクリップを拝めるかもしれません。その日を待ちながら、改めてフレッド・ガルのパートをスローバック。
--MK