熊本を拠点に活動するスケートクルー、Grapevine Asiaを取り仕切るジュリーこと奥脇賢二。40歳を迎えた今なお現役スケーターとしてキャリアを重ね、スケートショップOLLIのディレクターとして熊本のスケートコミュニティの活性化に尽力してきた九州の重要人物でもあります。Grapevine Asiaの足跡を辿るインタビューと併せて、同クルーの立ち上げ20周年を記念して制作されたビデオパートとミニドキュメンタリー作品をどうぞ。
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VHSMAG(以下V) Grapevine Asiaの立ち上げから20年以上経ちましたが、今の心境を教えてください。
奥脇賢二(以下O) 正直、あっという間な感じですね。相方の渡鍋 悟と自分の地元である熊本の辛島公園で結成してから、気づいたら自分も40歳になっていて…。20年も経ったんだな、という感じですかね。仲間とひたすらスケートビデオ制作を続けてきた20年という感じです。
V そもそもGrapevine Asiaを立ち上げたきっかけは?
O スケートビデオを作りたかったからです。自分のビデオパートを作りたいという気持ちが一番で、「だったら自分でスケートチームを結成しよう!」と思ったのがきっかけです。
V Grapevine Asiaのネーミングの由来は?
O 結成当時はGrapevineという名前で活動していました。地元のスケーターの先輩に相談したりして決めた感じで、いろんな意味が込められています。簡単に言うと、ぶどうの房が母体で実のひとつひとつがライダー。それぞれのライダーが集結してチームができ上がっているイメージです。それから途中でGrapevine Asiaに名前を変えました。変えた理由もいろいろあるんですけど、当時のスケートのイメージはアメリカを意識しすぎていたので自分たちで発信することを考えた上でGrapevine Asiaに改名しました。ぶどうの実ひとつひとつが情報と言う意味もあって、アジアのスケート情報網みたいな…。自分たちで発信していくという意味合いを込めています。
V Grapevine Asiaのコンセプトを教えてください。
O 絶対にブレずに自分のスケートをするということだけですね。
V チームに所属しているスケーターは?
O チームは自分を含めて9人です。自分以外は渡鍋 悟、東 太樹、幸 賢一、黒田正樹、森本 豊、長部総一、田島一洋、宮本竜太。これがGrapevine Asiaファミリーです。
V 現在の九州のスケートシーンはどのような感じですか?
O 九州のスケーターは南国特有なのかいい感じでゆる~く人にも優しい感じのスケーターが多いですよ。その反面、あまり九州から飛び出して行こうというスケーターが少ないのもすごく感じます。かなりのスキル&スタイルがあるスケーターもいるのにあまり表に出て行かないヤツが多いので、自分としては「残念だな」と思う気持ちも正直ありますね。実は宮原聖美クラスのスケーターも結構いるんですよ。
V ショップOLLIとして地元のコミュニティを支えていると思いますが、熊本のシーンについて教えてください。
O スケーターは確実に増えていていい感じだと思います。パークも郊外だけど昔よりは増えています。でも熊本市内にスケートできるパークみたいなところがまだひとつもないので、署名を集めて活動をしているところです。それと来年の12月にOLLIのスケートビデオを発売する予定で、今は熊本ローカルの猿渡翔平、石本明宏、山形 剛の3人のフルパートの撮影をしているところです。完全に無名の3人なんですけど、このビデオをきっかけに表に出て行ってほしいと思ってます。
V Grapevine Asiaを始めて心底良かったと思うことは?
O Grapevine Asiaを結成したことで20年間スケートに夢中になれたことが一番ですね。
V ではGrapevine Asiaの魅力は?
O 自分で魅力っていうのもあれなんですが…。スキルももちろんですけど、スケートで一番大事なのは100パーセント個性だと思っています。Grapevine Asiaのチームは個性派揃い。それが一番の魅力だと思っています。でもその反面、性格を含めた上で普通のヤツがひとりもいなくて(笑)。イカれていると思っている人から「Grapevine Asiaはイカれてるヤツしかいないですね~」と言われます(苦笑)。ある意味、褒め言葉だと思っていますけど。ボスとしてまとめるのは至難の技ですよ(笑)。
V これまでの歴史を振り返って印象的な出来事やプロジェクトは?
O 振り返って気がついたことがあるんですけど、2005〜07年の3年間は毎年フルレングスビデオをリリースしているんですよ。自分としてはビデオを作りたくて夢中でやってきたのであまり何も考えていなかったんですけど、3年連続でフルレングスをリリースしているスケートチームなんてないよな、と思いました。なのでフルレングスビデオのリリースが一番印象的ですね。
V Grapevine Asiaを20年以上も続けることができた理由は何だと思いますか?
O 20年間やっていたら嬉しいこともメチャメチャ嫌なこともありました。でもやっぱりGrapevine Asiaファミリーはもちろん、たくさんの人たちが協力してくれたからこそ続けることができたんだと思います。
V Grapevine Asiaからシグネチャーモデルをリリースしましたよね。シグネチャーモデルにかけた思いについて聞かせてください。
O デッキをリリースしたのは、自分がこれからもやっていくという決意の表れです。この先どこまで自分はやれるのか? オッサンになってもオッサンにしかできない魅せ方があると思っているので、そこの部分でもっと自分を表現して行きたいと思っています。ボードグラフィックは地元熊本の絵描きの歓喜がオレのことをイメージでして描いてくれたものです。かなり気にいってます!
V 今回制作したパートについても聞かせてください。
O 撮影期間は約2、3年ですかね。石橋ゆうじという福岡でスケートビデオを作っているヤツがいるんですけど、彼にほとんど撮影してもらいました。こいつのカメラワークが好きなんですよね! 本当はゆうじの作ったビデオにフルパートを出す予定だったんですけどなかなか完成する気配がなくて(笑)。今回の編集もゆうじがやってくれて、自分にとっては30代最後のフルパートとなった感じです。
V では現役でスケートを続けるということの重要性は?
O ゆる~く楽しくスケートするのも好きなんですけど、やっぱり挑戦したいんですよね。今まで自分はスケートで挑戦することで「仕事でも私生活でもやればできる!」という気持ちにさせられてきたんですよ。だから現役でスケートを続けて挑戦するということが自分にとって重要なんです。
V では最後に今後の活動予定、または目標は?
O 現在はGrapevine AsiaとOLLIのふたつのスケートビデオを制作中。来年の年末にはOLLIのDVD、そしてGrapevine Asiaの方は今まで制作してきた7作品をすべて収録したBOX SET的なものをタイミングを見ながら発売する予定です。というのも、森本 豊と田島一洋のふたりをフィーチャーしたいと思っていてるので、リリースするタイミングはこいつらふたり次第なんです。またこのふたりが、やるやる詐欺でございまして(笑)。撮影を始めてすでに3年経っているんですけどね…。ここで告知させてもらうことでスイッチを入れてくれることを願っております(笑)。自分個人としての目標は、また自分のフルパートを残すことです。AREthがライダー総出演のスケートビデオ制作を始めたところなので、この作品でぶちかましたいなと思っています。後はOLLIもあるので地元のスケートシーンを盛り上げていきたいですね!