昨年11月、VansのLoveletters to Skateboardingという番組の撮影でホストを務めるジェフ・グロッソと10日間を過ごしました。限られた時間の中で、日本のシーンを築いてきたスケーターをできるだけ多く取材させていただきました。スケートのことになると子供のように目を輝かせ、歴史を掘り下げて先人にリスペクトを払い、スケートコミュニティに存在する暗黙のルールを厳守してきた人。そしてそれを同番組を通して後世に残す活動をしてきた人。まさに「スケートに人生を捧げた」という言葉がふさわしいスケーター。
そんなグロッソが3月31日に他界したのはみなさんもご存知のことかと思います。そして先日、彼の52回目の誕生日にVans主催の追悼番組がライブ配信されました。本来ならコンビプールでセッションをしながら故人を偲ぶべきなのでしょうが、新型コロナによる外出自粛のため追悼の会は身近な友人を自宅からビデオコールで繋いでオンライン上で行うことに。ヴァン・ドーレン、ルセロ、リジー、Lovelettersを手掛けるリックとバディ、スティーブ・オルソンにサルバ…そうそうたる面子でグロッソの功績を称えることに。笑いあり、涙あり、愛情たっぷりの1時間半。グレッグ・ハントが『Propeller』の映像をまとめたエディットに加え、世界中の友人から追悼のメッセージが寄せられました。日本からはFESNの森田貴宏と自分も声をかけていただき、僭越ながら感謝の言葉を贈ることもできました。
グロッソと過ごした時間の中で彼は繰り返しこう言っていました。「国籍、世代、性別を越えて、オレたちスケーターはみんな同じ“トライブ”の一員。シーンを築いた人たちがいたから今がある。それは絶対に忘れちゃいけない」。そんな言葉を通して歴史やカルチャーを伝えることの大切さを再確認することができました。今となっては一緒に作ったLovelettersのエピソードの公開を待たずに他界してしまったことが残念でなりません。スケートコミュニティに誰も埋めることのできない大きな穴がぽっかり空いてしまった感じがします。大胆ながら非常に繊細な人。スケートに対する愛情と情熱の塊。
スケーターであれば意識せずとも例外なく彼の恩恵を受けているはず。グロッソの功績を祝福すると同時に、故人に改めて感謝したいと思います。合掌。
--MK