新型コロナウイルスの猛威によって人やものの移動が制限され、世界中で急激に社会のオンライン化が進行。アジア諸国のスケートショップを巻き込んで行われるVANS SHOWDOWNも例外ではなく、今回はオンラインコンテストとして行われることに。というわけで、同コンテストで見事優勝を果たしアジアNo.01に輝いたHIGHSOXの面々を直撃!
--MK
VHSMAG(以下V) Vans Showdownの優勝おめでとうございます。まずは今回のコンテストの内容から聞かせてください。
TK(以下T) これまではShop RiotっていうVans企画のスケートショップ対抗コンテストだったんですけど、コロナ禍ということでオンライン動画で競い合うことになりました。日本から予選に参加したのは僕らとBlackline。2チームからいいほうが日本代表に選ばれてアジア諸国を相手にした動画コンテストに参加できるというものです。
V 予選の動画では前回の2019年にセクションのデザインコンテストで優勝してマレーシアの決勝に行ったときの映像も使われてるね。今回はデザインコンテストはなかったの?
T 今回のデザインコンテストには参加しなかったんです。だから結局、アジアの他の国のショップがデザインしたセクションを選んで、それを使って決勝用の動画制作をすることになりました。
マッキー(以下M) セクションは自分らでデザインしなかったんですけど、HIGHSOXカラーにしましたね。
T そうなんですよ。他の人のセクションで滑るだけじゃまったく面白くないから、僕ら色にアレンジしたっていう。それで靴下の柄に仕上げてもらいました。
V 決勝用の撮影は昭島の倉庫で行ったんだよね? 初っ端からトラブルが発生したって聞いたけど…(笑)。
T そうですね。まず元気が開始早々、ケガして戦線離脱するっていう…。ウォーミングアップの手前だよね。
M 普通に倉庫に入って1発目にノーコンプライしたら骨折したんだよね?
ワグリ いや、倉庫内を10往復くらいはしてました。
V 倉庫で撮影したのはウェザーリスクを想定してのこと?
T それもあったんですけど、映像のコンセプト的にVansのシューズボックスの中で滑ってるっていうイメージにしたかったんです。だから箱っぽい空間のほうがよかったんですよね。動画の冒頭で箱の中に入っていくシーンがそうです。
V 撮影を1日で終わらせるというプレッシャーもあるなかでライダーの戦線離脱は厳しかったんじゃないの?
T 今回は僕とワグリが映像と写真を担当して映像のプロの鯨井さんにも手伝ってもらったんですけど、ライダーがマッキー、ムッツ、元気、きなこ棒、あとBeer Slaveのユウキくんという5人。動画の最後にシンクロしてる映像があるんですけど、あれももちろん5人を想定してたんですよ。だから元気がケガして…「マジか!」ってなりました。
M いきなり寝転んで動かなくなってたよね。
T でも時間の制限もあるしそうも言ってられないから…やるしかないって感じでとりあえず撮影を進めました。
V じゃあ、動画の構成は事前に決めてたんだね。
T そうです。構成は決まってましたけど、スケートは当日やってみないとわからない感じでした。セクションは与えられたままの固定された四角い感じじゃなくて、自由に動かせるように作ってもらったんです。臨機応変に可動できるように。それも動画の最初のバンクを移動させるシーンで表現してます。とにかく決められた時間のなかでやらなきゃいけないから、そのなかでいかに自分たちが自由にできるか。そこに力を入れた感じですかね。
M 意外とアプローチが狭かったのも大変でしたね。ランニングプッシュができなかったから、飛び抜けがやりにくかったりとか。全方向から行くのが難しかったです。
V 元気くんの戦線離脱はどれくらい影響したの?
T 元気がいればもっと変わったトリックが出てたと思います。今回の動画でやってるトリックは普通のことをやってる感じだと思うんです。でもCMっぽいテイストにしたり、ギミックを入れたりとか。そういうのでクセを持たせた感じです。元気がいたらトリックでもクセをもたせることができたとは思いますけど…。
V 動画はよくできてて面白かった。ライダーが入り乱れるところは圧巻。
T 本当はあそこを5人でループさせたかったんです。みんなが重なるようで重ならないっていう。でもあの編集も超大変で…。あれは全員の映像をただ重ねてるだけじゃなくて、実際ひとり150枚ずつの写真にしてるんですよ。全部で700枚くらい切り抜いたんじゃないですかね。でもその内の300枚くらいがワグリが小走りしてる写真で(笑)。それだけまさか使わないっていう。だから400枚くらいの写真とひとつの映像で成り立ってる感じですね。毎日ちょっとずつ進めてました。とにかく時間をかけてやるしかないっていう。でもそれをやればいいものができるという確信はあったんで。
V スケートに関して印象的だったことは?
T Beer Slaveのユウキくんは影キャラっていうか、表舞台にあまり出てこない人なんです。でも今回はVansがめちゃくちゃ好きなんで密かに燃えてて。
M カマしてたよね。
T 今回使ってない映像もあるんですけどトライしまくってましたね。うちらのなかでもユウキくんが30代半ばで一番年上なんです。脂が乗り切った感じ。最年少のムッツにも負けずに滑りまくってました。上がりましたね。
M 全然見ない技を出してきてたから。
V 動画が完成してVansに提出したときの感触はどんな感じだった?
M まあ、勝てるんじゃないかなって思ってました。判断基準にもよるとは思いましたけど。スケートスキルだけが基準なら難しいかもしれないですけど、コンセプトとか作品として見たら一番だと思いました。ここまでこだわってるショップは予選でもいなかったし。本戦でここまでできたら勝てると思ってましたね。
T そうだね。最終的にこれがVansのCMになってもいいくらいの感覚で作ったんで。プロモーションビデオに近いようなイメージ。そういう形で作ってくる国はないはずだから。そういう意味で観てもらえればうれしいです。印象に残ればいいなって。
V それで見事、予想通り優勝を飾ったね。優勝賞金は?
T 優勝賞金は$3,000ですね。なので$3,000引っさげてツアーに出ようと思ってます。それを見越してがんばってたんで。賞金を持って、Vans履いて、ツアーに行きたいと思います。
M これで終わらずに、継続的に動いていきたいです。次に繋げたいですね。
V いいね、おめでとうございます。ちなみに昨年から2月19日がスケートショップデーに制定されてローカルショップの重要性に注目が集まってるけど、HIGHSOXとしてのこだわりや魅力は?
M 接客。そこしかないと思います。
T 僕らはフラットに接客するように心掛けてるんです。スケートを通してお客さんと友達になりたいし。年齢とかスケートのレベルとか関係なく接してます。だから常連になってくれる人も多いし。またあそこのお店に行きたいと思ってもらえるようにがんばってます。あとはふざけてて、アホで、ドラマチックなスケートビデオを作ったりとか。そんな感じで、できることをつねに模索してやってるから。面白いショップにしていきたいと思ってます。