地元の町の、かつては殺風景で特に何もなかった海沿いエリアもここ10年ちょいで整備が進み、住宅街やちょっとした商業エリアなんかが次第に増え少し明るい雰囲気へと変わりつつあります。人工ビーチや公園ができたこともあり、あまり存在感もなくショボい町であったはずの地元でも、昔では考えられなかったようなイベントが開催されるようになったのは素直に喜ばしいことです。そんな新興エリアにある、とある公園の一角に気になる箇所が…。そこには「スケートパーク予定地」という看板が立っているんです。いつ頃からその看板があるのか定かではないのですが、スケートボードがオリンピック競技への採用が決まり、注目を集めるようになった2016年あたりに初めて自分もその存在を確認しました。
しかし僕の地元には、行政に働きかけるスケーターは存在してないはず。少なくとも町にスケートシーンらしきものがあった頃からの同世代スケーターたちはそのような動きをしてきませんでした。「では一体なぜ?」なんて頭の片隅に疑問が残ったまま、あれよあれよと時だけが過ぎ、もはや忘れかけていたところ。そんな先日、少し離れた別エリアのローカルのスケーターから連絡をもらい、とある人を紹介していただくことがありました。その方はどうやら、これまでいくつかのパブリックパーク建設に関わってきたそうで、「地域民の意見を聞かせてほしい」とDMでやりとりを進めました。自分たちローカル内だけで共有し、意見をまとめて伝えることを条件に完成予定図を見せてもらったんですが、なんともOMG。それはまるでありきたりで既視感しかないようなセクションがところどころに配置されたもの。お世辞にもわざわざ行ってみたいとは思えないようなパークデザイン。ということで、そこそこスケートも長く続けてきた僕ら世代、いい歳のベテラン組からはあれこれツッコミもあったわけです。そこにはいい点、悪い点、そして「ここもっとこんなセクションとかがいいなぁ」ってのも当然ながらあるわけで、それもお伝えさせていただきました。しかしながら「デザインはもう完成予定図から変わることはないはず」という返答が。どうやらスケーターが関与しないところで話が進められ、もう変えようがないのだとか。「行政が勝手に作ったパーク」ってのは各地で度々話題になるものですが、まさにそれが我が地元にも進められているということになります。
「パークができるだけありがたい話。文句ばっか言うんじゃねぇ!」って意見も出るでしょう、特に自分たちが動いているわけでもないのだから。しかし思うのは、パークができるだけありがたいってのは20年ぐらい前の話なのであります。各地に次から次へとスケートパークが作られていく今日、求められるものは多くの利用者のニーズに沿いつつも、個性があり、他と差別化できるようなものではないかと。パークにひとつやふたつ、そこにしかないようなデザインのものがあって欲しいと思うんすよ! それを目当てに地域内外から、時に外国からもスケーターがやってくることもあり、観光資源ともなり得るわけです。同時にそれは刺激となり、ローカルシーンを活性化させることにも繋がる。せっかく税金を投入して作られるパブリックのスケートパーク、「なんとなく作ってしまえばそれでヨシ!」のスタンスから変わるといいんだけどな〜。
まぁその新しく予定されているらしいパーク、自分の出身の町と隣りの町の境界線を越えたあたりにできるということで、厳密に言うと自分の地元の町ではない。おらが町にもいつかパークが作られる、そんな未来があるのなら、ちょっとはパッとしたものがあるといいよなぁ。
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)