フレッド・ガルのフルパート“Spiritual Healing”が先日公開されました。ビデオや雑誌を通して彼のキャリアを初期から見守ってきただけに、このパートの完成は感慨深い。
'90年代から東海岸を代表するスケーターのひとりとして活動。フィリーのスケートショップSub Zeroの『Real Life』やEastern Exposureシリーズに収録されたLOVEでのスケーティングが印象的でした。特にAlien Workshopの『Timecode』でSFのハバハイドアウトをスイッチで攻め立てたことはスケート史の1ページとして今なお語り継がれています(Thrasherの表紙もSw 5-0でゲット)。その後はHabitatの作品の数々でラフなテラインを鬼攻め。
このように彼の残した功績を振り返ればそのキャリアの陽の部分しか見えませんが、その裏にはいろんな陰の部分があったようです。まずは手の骨折をきっかけに鎮静剤中毒に。そして妻との離婚をきっかけに当時住んでいたブルックリンから地元ニュージャージーの実家に戻り、ヘロイン中毒の母親の面倒を見ることに。しかしやがて母親と一緒に常習的にヘロインを摂取。スケートが二の次になりハイになることだけを求めていたある朝、目を覚ますと注射針を腕に刺したまま死亡している母親を発見。それからリハビリ施設でヘロインを絶ちスケートに専念。ここ数年はDIYアクティビストとして地元のスケートコミュニティを盛り上げています。
そんな紆余曲折を経て完成したのが今回のパート。これは、神童→ストリートのイノベーター→ヘロイン中毒→DIYコミュニティアクティビスト→40代でフルパート完成、という30年以上におよぶスケートライフの集大成。というわけでまだフレッド・ガルの最新パートを観ていない人は今すぐチェックしてください。このパートは重みが違います。
--MK