先日、Thrasherからトム・ペニーのラインが公開されました。なんてことのないベーシックトリックばかりで、おそらく即興的に組み立てられたライン。「大したラインじゃないじゃないか」と不思議に思った若いスケーターも少なくないかもしれません。そんな人のために、今回はトム・ペニーについておさらいしたいと思います。
一言で言うと、トム・ペニーこそスケートコミュニティで最も神がかったスタイルの持ち主。'90年代半ばにFlipがUKからアメリカに上陸して“ブリティッシュ・インヴェイジョン”を巻き起こし大きな話題を呼んだのですが、その中心的役割を担ったのがトム・ペニーでした。まったく力の入っていないような脱力したスタイル、切れ味するどいキックフリップやフロントフリップを武器に一世を風靡。アメリカ中心のスケートシーンが外国人によって掻き回された初めての例と言っても過言ではないかもしれません。
'90年代半ばのたった数年で数々の伝説を残してキングと崇められるようになるも、注目を集めてもてはやされることを嫌ったペニーはアメリカを離れ、フランスに移住してゆっくりとスケートを楽しむことを選択。'00年代初め頃にシーンからこつ然と姿を消したのはこのような経緯があったから。名声を求めることなく純粋にスケートと向き合うその姿勢にもリスペクトが集まっています。
と、トム・ペニーの凄さをどうにか言葉で説明しようとしてもうまくいかないので、これまでに公開されたパートの数々をチェックしてください。この人を形容するには“神がかっている”という言葉が一番ふさわしいことがわかってもらえるはずです。
--MK
etnies『High 5』(1995年)
TWS『Anthology』(2000年)
éS『Menikmati』(2000年)
Flip『Sorry』(2002年)。シーンから姿を消したトムが久しぶりに登場したのがこのパート。フランスの自宅のミニランプで撮影。
Flip『Really Sorry』(2003年)
Flip『Extremely Sorry』(2009年)