「“Wheel”って書いてなんて読みますか?」 と尋ねられた場合、スケーターなら必ず「ウィール」って答えると思います。が、スケーターではない人に同じ質問をした場合、十中八九「ホイール」と答えるのではないでしょうか?
あくまでも自分の感覚ですが、この「ウィール」という読み方はスケートボード用のウレタン製のアレを呼ぶ場合に限る気がしています。ですので、スケーターだからといってオートバックスに行き「愛車のプリウスをいい感じにしたいからアルミ製のウィールください」なんて言うことはなく、そこでは「アルミホイール」と言うでしょうし、スケートショップに行って「Spitfireの52mmのホイールください」なんて言うこともありません。
VHSMAGのスタッフの一員であるアメリカ人のJJに英語の正式な発音を聞いたところ、Wheelは“ウィール”もしくは“ウィル”って読み方がしっくり来るので、“ホイール”って呼び方はいわゆるカタカナ英語もしくは和製英語というものだと思います。
では、なぜスケートの場合だけ“ウィール”って呼び方が使用されているのでしょうか? 気になって調べてみました。
日本のスケートボードメディアの先駆けである『ラジカルスケートブック』(1988年)、『OLLIE 1987 SUMMER』(吐夢書房)、『OLLIE 1988 SUMMER』(吐夢書房)でのWheelの表記をそれぞれ見てみると、この時点ですでにウィール、もしくはウィルという表現が使われておりました(ごく一部にホイールという表記はありましたが…)。
ここから先は自分の推測になるのですが、ウィールという表記は、日本のスケートメディアの創世記に制作に関わった編集者やスタッフがいかにアメリカのスケートカルチャーと密接な関係であったかの証拠であり、それが日本のスケーターに浸透した結果、ウィールという呼び方が定着したのだと思います。
そんな先駆者たちにリスペクトを表しつつ、スケートシーン以外でもウィールって呼び方が広まるといいなぁということで、今回のコラムを締めくくりたいと思います。
--TM
写真左から、『ラジカルスケートブック』(1988年)、『OLLIE 1987 SUMMER』(吐夢書房)、『OLLIE 1988 SUMMER』(吐夢書房)
Paradise Wheelsからリリースされた今村アキラのパートをチェック。