adidas Skateboardingとの付き合いはadidasがジャパンツアーで来日を果たした’08年10月までさかのぼる。ツアーの10日間はガイドとして毎日チームと同行し、SLIDERのadidas特集が実現するまでの2年半の間も、同ブランドのアート・ディレクションを手掛けるSFのデザインクルー、Juice Designの面々とは付き合いが続いていた。スケートチームが発足される以前から好きなシューズブランドであり、ましてや付き合いがある裏方やリスペクトするスケーターたちが関わっているadidas特集がSLIDERで実現すると聞いたときは本当にうれしかった。今回取材した面々、そしてアーカイブ写真を提供してくれたフォトグラファーは、以前に日本やSFで会っていたため、初対面となったのはシューズデザイナーのダニー・キンリーのみ。しかもその彼もadidas Skateboarding特有のレイドバックな性格で、今号の取材は今までにないほどリラックスでき、生産的なものとなった。
取材内容とadidas Skateboardingというブランドについては是非本誌を読んでもらいたいが、adidas Skateboardingの大きな魅力はなんといっても、ブランドに関わっている人間が全員スケートに精通しているということだ。これは今日のスケートブランドにとっては普通のことのように思えるが、adidasのような大企業にとっては珍しいことだと思う。そしてチームに在籍するライダーは決してスーパースターとはいえないが、初心者ではなく玄人のスケーターを唸らすような素晴らしい面々で構成されている。しかも肝心のシューズはすべてシンプルかつ洗練されたデザインで、過去のadidasの遺伝子を継承したものばかり。Simple is Bestとはよく言ったものだが、これはadidas Skateboardingにピッタリの言葉だ。取材を終えて感じたのは、adidas Skateboardingはブランドとライダーが密にコミュニケーションを取り合い、共通の目標をしっかりと共有しているということ。さらに言えば、大企業らしくなく、スケートの本質を大切にしているということ。
SLIDER Vol. 07のadidas Skateboarding特集では、ライダーはもちろんのこと、アートディレクションを手掛けるJuice Design、ヴィデオグラファーのダン・ウルフ、adidasアメリカ本社の裏方…adidas Skateboardingを構成するすべてが詰まっている。知られざるadidas Skateboardingの全貌を、是非ともご一読願いたい。そしてadidas Skateboardingの素晴らしさが少しでも伝われば幸いだ。
--MK