ジョエル・チューダー。サーフカルチャーに関わる人であれば、彼の名前を知らない人はまずいないだろう。“クラシック・ムーブメント復活の旗手”、“天才ロングボーダー”など彼の代名詞ならいくらでもあるが、最も大事なことは、彼が多くの人を魅了するスタイリッシュなサーファーであるということだ。
2、3回のパドルで軽々とテイクオフしたかと思った刹那、彼はすでにノーズの先端でハングテンをメイクしている。そしてピボットターンで9フィートを超えるロングボードを右へ左と柔らかく動かし、再びウォーキングからチーターファイブ、そしてハングテン。その一連の動作には力みなどわずかもなく、スムーズのひと言。彼ほどサーフィンを優雅に見せる男が他にいるだろうか。
もちろんスケートボードの分野においても“スタイリッシュ”という言葉がよく似合う男がいる。そう、みなさんご存知のレイ・バービーだ。1988年にリリースされたPowell Peraltaの『Public Domain』のモノクロパートでは、ボードをフロントそしてバックと両サイドに回転させ、さまざまなヴァリエーションのノーコンプライをいとも簡単にメイクしていた。そんな彼の姿は、実にスムーズかつ独創的で、まるでストリートダンスを見ているかのよう。現在もそのスタイルをキープしてスケートの第一線で活躍するかたわら、ミュージシャンとしても活動するレイ・バービーだが、そんな彼の計り知れないクリエイティビティは、こうしたストリートスケートで培われたものにちがいない。
9月30日に発売されるスライダー最新号の『VANS特集』では、スケートとサーフィンと分野は違えど、ともにVans Teamに所属するジョエル・チューダーとレイ・バービーを紹介する予定だ。そして彼らのナチュラルでスムーズなスタイルを、写真と原稿で読者のみなさんに伝えることができれば本望である。
--Kota Engaku