スケートが楽しくてしょうがない…(笑)。もはや、その毒はあっという間に身体中にまわって、ちょっとした感染者だ。まぁ、スケートという毒牙に噛まれるまではずいぶんと時間がかかったけれど、いまこうしてスケートボードに出会えて本当に良かったと思っている。
そうそう思いおこしてみればSLIDERが始まった3年前のこと。スケートといえば僕にとってはサーフィンのオフトレ感覚でしかなかった。街を軽くクルージング的な? まぁ、とにかくプッシュだけでもしていればサーフィンのバランス感覚を養うのに足しになるかなぁ~、くらいにしか正直考えていなかったのだ。
ところがだ。SLIDERを1冊、1冊とリリースしていくうちに、その世界の虜に。YouTubeで、そしてDVDでスケーターの映像をチェックするたびに、自分でも信じられないほどにどんどんとスケートの世界にのめり込んでいった。そして、SLIDERを一緒に作るクルーには、VHSMAGでもお馴染みのMKさんとKEさん。'80年代からスケートのシーンを見てきた彼らとの会話は僕にとって驚くほど刺激的であり、さらに彼らは「スケートってどこまでもかっこよくて、FUNなものなんだ」と教えてくれた。
となれば俄然やる気も出て、積極的になるのは自然の流れ。週末になれば撮影、プライベート問わず、パークそしてストリートと滑れるところはどこだって、もちろん場所だって都内、地方を問わず、知り合った仲間たちと動くようになった。そう、いつしかサーフィンのための週末は、スケートのための週末へと変わっていったのだ。いや、週末というのは正しくないかなぁ。平日でも仕事を早上がりして…なんてこともあるから(笑)。とにかくいまはスケートが生活の一部なのだ。
が、やはりスケートは難しい…。もし“スケートがうまくなるチケット”なんてものが売られていたら、すぐにでもアコムやプロミスにいってお金を作り即買いしたいくらいだけれど、現実はやはりちょっとずつ、ちょっとずつの繰り返しだ。とにかくひたすらテールを叩く! そして散る! 縁石からバックドロップのように転げ落ちようとも、また身体にムチを打ちながら、ひたすら挑まなければならないわけだ。でもそれが楽しいじゃない(笑)。そう、31歳でも、まだまだ上手くなりたいわけですよ。
とにかくスケートでできることなんてまだ少ないけれど、こうして積極的にスケートするようになって、ひとつだけ確かなことを得た。それはプロスケーターへの絶大なるリスペクトだ。仕事柄、幸運にもプロスケーターと動き、彼らの撮影の現場に立ち会うことがあるが、その度に彼らには心の底から感動させられる。スポットシークの眼、失敗しても何度でもトライするポジティブな気持ち。彼らは身体を張って素晴らしいライディングを写真や映像に残してくれる。そう、スケートが上手いのはもちろんだが、彼らがプロと呼ばれる所以はそのメンタルの強さにあるのではないか。スケートのシーンはどこまでいってもスケーターが主役。身体を張って日々スポットにチャージする彼らを、スライダーが少しでもサポートできれば本望だーー。よっし! おいらもがんばろ!
――Kota Engaku