日々都会で生活していると、仕事や人間関係などのストレスが溜まりなにもやる気が起きない…なんてことはないでしょうか? そんな時、自分は行くあてもなく地方へとバイクを走らせてみたりします。東京から小一時間ほどバイクを走らせると、驚くほど自然溢れる山の中に行けるのです。
先日、久しぶりに一泊二日でツーリングをしてきました。目的は大自然の中でキャンプをすること。誘った友人は中学の時からの付き合いで、バイクを何台も所有しているほどのバイク好き。ふたりとも中古のボロいハーレーを持っているので「アメリカンバイカーごっこをしよう」と、思いつきで計画しました。
ツーリング当日、集合場所である友人の家に行くとそこにはハーレーはなく、いかにも速そうな真っ赤なバイクが停まっていました。僕は「なにこれ? ハーレーじゃなきゃ旅の風情が出ないじゃん」と言うと「ハーレーは修理中だからこれで行くよ」とのこと。自分は心の中で「なんか女々しいバイクだなー」なんて思いながらも、まぁバイクには変わりはないしいいかということでキャンプツーリングに出発しました。
いったんバイクを走らせてしまえば些細なこだわりは忘れ、日々のストレスや悩みごともすべて吹き飛んでしまいます。「バイクって最高だな!」と気分は最高潮。高速は使わず、下道でいくつも山を越え山梨県に到着した僕らは、適当に近くのキャンプ場を検索し、iPhoneを頼りに再出発。しばらく地図アプリに従いバイクを走らせると、何かがおかしい。やたら道が細いし、舗装されていない道に誘導されている……。「大丈夫か?」と心配しつつも「まぁ山だしこんなもんだろ」と思いバイクをさらに山の奥へと走らせる。路面の悪い舗装されていない道での走行に集中していたため、後方を確認していなかったことに気づく。友人が付いてきているものと思いバイクを止め後ろを振り返ると、真っ赤なバイクが僕めがけて突っ込んでくるじゃないですか! 「危ないっ!」と思いとっさに避けると、前日の雨を吸った泥にタイヤを取られ友人は見事に吹っ飛びました。「大丈夫!?」と声をかけると「こんなレース向きのツルツルのタイヤでこんなとこ走れるわけないだろ!」とブチギレ。バイクをふたりで起こすと、なんとフレームが折れている…。新車同様のピカピカのバイクは泥と傷だらけになり、フレームまで折れる始末。友人はそのあともしばらくキレ続けていましたが、走行には支障がなかったため、なんとかキャンプ場にたどりつきました。「いや〜いろいろあったけど、BBQでもして忘れようやー」なんて友人を慰めつつ受付に行くと、受付終了のプレートがぶら下がっている…。そう、道に迷ったことにより、予定到着時刻を大幅に過ぎていたのです。しかも軽く霧がかっている上に雨まで降ってきている…。こんな状況で野宿をしたらさすがに凍死するレベル。絶望感に打ちひしがれながらも、仕方がないので近くの街のホテルが空いていないか調べると、ここから50キロも離れているではないですか…。すでに300キロ以上走っている上に、雨の中50キロ走らなければならないという鬼畜の所業。とはいえ、ここにいても日はどんどんと暮れて行くので、重い腰をあげ、なんとかホテルにたどり着きました。ホテルはお化け屋敷のような佇まいでしたが、野宿よりは…ということで一泊。早朝、外国人観光客の団体による騒々しい話し声で目覚めました。気持ちを切り替えて富士山を見に行こうと思うと、今度は土砂降り。さすがに戦意喪失した僕たちは高速で東京に帰り、今回のツーリングは終了しました。
正直、バイクツーリングが予定通りにうまくいったことはありませんが、予定通りに行かないのもすべて楽しい! と僕は思っています。なにより、目の前のことを処理するのにいっぱいいっぱいになって普段のストレスなどは吹っ飛んでしまします。ストレスが溜まって疲れ切っているというみなさんも、大自然を感じる無計画な旅をしてみてはいかがでしょうか?
--Kentaro Yamada