先日、近しい友人が「ガン」に冒されていると判明した。場所は大腸。幸いにして早期発見だったがゆえに大事には至らず至急手術ということで事なきを得たが、これは自分にとって大きなニュースだった。また3年ほど前に別の友人を同じく大腸ガンで亡くしているのだが、こうも立て続けに周りの友人がガンに犯されていく事実を目の当たりにすると、とても人ごとのようには思えなかった。
長らく続く健康ブームを横目に、自分には関係ないと好きなものを食べ、大酒を喰らい、喫煙を喜び、そして睡眠不足を続けてきた30代。たまの運動といえば週1のスケートではあったが、ここしばらくは忙しさにかまけてそこからも足が遠のいてしまっている。そんな生活が決して良いとは思っていないが、「しょうがない」という人間の甘さが怠惰な自分をつねに肯定している始末だ。かつての若い自分は、運動不足で不健康な大人になりたくないと思っていたはずなのに、気がつけばいまの自分はまさにそのものじゃないか。
階段を駆け上がってみた。いつもの道を全速力で走ってみた。とてつもなく息が上がる。明らかな体力の衰えを感じ、虚しくなる。仕事での充実感と引き換えに、健康的で若い身体を失いつつあるようだ。もちろん仕事とプライベートを上手に両立できる人はたくさんいるだろうけれど、どうやら今の自分が持つスキルとキャパシティでは、何かを得たぶん、何かを失ってしまう。
ではどうすればいいのか……。残念ながらその明確な答えはいまのところ見出せていない。けれどこのままがいいと思っているわけでもなく、ただただいまは、長らく健康的にスケートを続けている諸先輩方から学ぶべきものを探している。そう、いつかその“学び”から答えが見つかることを信じて。
--Kota Engaku
紆余曲折な42年のスケートキャリアを送ってきたエリック・ドレッセン。不健康な生活から脱し、いまは再びスケートを中心とした健康的な生活を送っている。このイラストは2013年に彼のスタジオを訪れた時に直接もらったもの。彼のように生活のスタイルをガラッと変えてしまうスケートボートの影響力と魅力というのは本当に計り知れない。