REEBOK CLASSICとのコラボシューズをリリースしたNY発のハードウェアブランド、BRONZE 56K。謎に包まれたブランドのひねくれた世界観。金でもなく銀でもなく、目指すは銅
──BRONZE 56K
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Interview by VHSMAG, Photo courtesy of Bronze 56K, Special thanks: Reebok
VHSMAG(以下V): Bronze 56Kには誰が関わっているの?
ピーター・シドラウスカス(以下P): Bronze 56Kはパトリック・マレーとオレが始めたブランド。ビリー・マクフィーリーが生産とセールスを担当。ケヴィン・ティアリーがデザイン、JP・ブレアが撮影を手伝うこともある。
V: Bronze 56Kがスタートしたのはいつ?
P: 2011年にハードウェアブランドとしてスタートした。当時は資金がなかったから普通のどこにでもあるようなボルトにスプレーを吹きかけてブロンズに塗っていた。本物のブランドのように見せかけるためにオンラインで強烈な存在感を示すようにしていた。
V: Bronze 56Kとはどんなブランド?
P: Bronze 56Kとはプッシュもままならない状態でカールスバッドの特大ギャップにアプローチして、どでかいスイッチハードを決めるようなブランド。Bronze 56Kとはチャンスを与えられずにスケートショップの棚に商品が最後まで残っているようなブランド。Bronze 56Kとは高校のときにバスケのチーム決めですぐに選ばれず、たいてい3番目から最後の間に選ばれるようなブランド。Bronze 56Kとは早朝に嗅ぐフレッシュなペンキの匂いのようなブランド。
V: チームには誰がいるの?
P: 正式なチームはなくて仲間の集まりみたいなもの。Bronze 56Kのメンバーであればそれぞれそう自覚しているはず。
V: Bronze 56Kはローファイなデザインや映像作品で知られているけど、誰が担当しているの? デザインのインスピレーションは?
P: ローファイなデザインやビデオといったブランドの美意識はオレとパトリックの担当。インスピレーションは18 Carat Affairを聴きながら古いTVコマーシャルを観ることで得られることが多い。または6時間ループで雨の映像を観ながらバイノーラルビートを聴いたり。または出産ビデオを観ながらRuff Rydersを聴いたり。ガキの頃に観て育ったスケートビデオも大きなインスピレーション。
V: デザインする際に気をつけることは?
P: 大体は「これはイケてるか?」と自問自答する。
V: Bronze 56Kが打ち出すブランドイメージは?
P: 1位にならなくてもいい、3位でもクソヤバいということを伝えたい。無理して朝5時に起きなくてもいい。10時や11時とか昼前に起きてもまだ1日を楽しむ時間がある。最高のフッテージが最悪のフッテージとなることだってある。このコンセプトを世に広めるためにTEDトークをしたいね。
V: これまでにHUFやPalaceといったブランドとコラボをしているけど、中でも印象的だった出来事は?
P: HUFとのコラボで印象的だったのは結果的に強制終了となったビッグパーティを開催できたこと。誰かが会場のセキュリティの頭をデッキで殴って通報され、チャチというスケーターがパトカーにオーリーで飛び乗ったんだ。みんなでMax Fishへ走って逃げてそのままパーティを続行。PalaceのときはヤツらがNYに来て10日間ずっとスケートをしながら夜は決まってどんちゃん騒ぎ。
V: ではBronze 56Kで思い入れの深いプロジェクトは?
P: 現在進行系のビデオプロジェクトだね。10月半ばに公開予定。
V: ではReebok CLASSICとのコラボはどういう経緯で実現したの?
P: 仲間のショーン・パワーズがレオ・ガンボアというReebokの新入りを通してシューズをもらっていたことがきっかけ。レオがNYのスケートブランドとコラボをしたいということでショーンに紹介してもらった。Reebokと繋がることができてうれしかった。昔からClub Cを履いているスケーターがクールだと思っていたからReebokとコラボがしたかったんだ。レオも興奮してくれてプロジェクトをうまい感じに形にしてくれた。レオ、ありがとう!
V: 肝心のシューズについて。デザインにはどれくらい関わっているの?
P: デザインはオレが100%。極力シンプルにしたかった。「レス・イズ・モア」の精神を大切にしたい。カラーリングも気に入っている。ライムグリーンのクリアソールがアッパーのホワイトとネイビーにばっちり映える。タンに配した「ルビンの壷」はBronze 56Kのビデオでずっと使ってきたキービジュアルだから、ブランドの美意識に合うと思ったんだ。
V: 大企業、オリンピック、アンダーグラウンド…現代のスケートにはさまざまな形があるけど、Bronze 56Kの立ち位置は? どの方向に向かっているの?
P: 大企業になるのは頭が痛くなりそうだからパス。でも同時にアンダーグランドすぎるのもイヤだね。だって金をゲットして仲間をパリに連れて行って豪華なクリスマスディナーを食べさせたいから。だから大企業とアンダーグランドの中間がベストかな。オレらのホーミーの誰かがオリンピックに出てブロンズ(銅メダル)を取ることがでればBronze 56Kにとって必然的でドープだね。まあ、誰もドラッグテストなんてクリアできないだろうけど。
V: では最後にBronze 56Kの今後は?
P: 新しいビデオプロジェクトが進行中。Reebokとのコラボ第2弾ができればいいね。ずっとこれからもスケートのハードウェアの進化に貢献し続けていきたい。
Bronze 56K
bronze56k.com
ローファイでノスタルジックな映像表現で知られるNY発のハードウェアブランド。スケートの枠にとどまることなく高感度なファッションヘッズからもカルト的人気を集める謎の集団。