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Photo courtesy of_Grand Collection
Special thanks_Kukunochi
VHSMAG(以下V): まず出身地はどこなの? 今はNYに住んでいるんだよね?
バギー・トールズ(以下B): そうだね。でも生まれはニュージャージー。今はブルックリンに住んでいる。もう5年になるね。
V: スケートを始めたきっかけは?
B: 10歳頃だったかな。オレは奥地に住んでいたから何かに真剣に取り組んでいる人はあまりいなかった。そんな中、母親の親友の息子がスケーターだった。その影響でスケートを始めたんだけど、そいつは2ヵ月後にやめちゃって…。それでもオレは滑り続けて今に至るって感じかな。
V: それは何年頃の話?
B: 10歳だから2004年とかかな。そのホーミーは車があまり通らない場所に住んでいたから、家の前でフラットで滑っていた。近所にミニランプができてからはインドアパークで滑るようになった。オレは森の中に住んでいた感じ。それくらい周りに何もなかった。だから母親が車で40分かけてパークまで連れていってくれたんだ。そこでディック(・リゾ)やジョシュ(・ウィルソン)といったスケーターと仲良くなった。当時はまだ15歳のガキだったから最高の環境だと思ったよ。
V: 影響を受けたスケーターは?
B: もう死んじゃったんだけど、レジェンドのブライアン・オースティンにシャウトアウトしたい。オレがガキの頃に通っていたインドアパークのスタッフだったんだ。ヤツがいたから今でもスケートを続けていると言っても過言じゃない。あとはジャージー・デイブ。でもオレはスケートパークで育ったからイーストコーストのスケーターについて知ったのはもっと後になってから。『Static』のジョン・イゲイとか。ニュージャージーは特別なスケートシティだと思う。ニュージャージーと聞いて連想するスケーターはたくさんいるだろ?
V: そうだね。うちらの世代だとボビー・プーリオ、クイム・カルドナやフレッド・ガルとか。
B: プーリオはヤバいね。フレッド・ガルも。実は初めて会ったプロスケーターがフレッドだった。ヤツと初めて会った日も覚えている。間違いなくレジェンドだよね。でもガキの頃はヤツらのヤバさを理解できていなかった。シティで育ったわけじゃなく田舎に住んでいたから、理解できるようになったのはずっと後のこと。その前はパークのスタッフが見せてくれたビデオがすべてだった。そうして次第に『Static』、プーリオやクイムについて知るようになった。だから『Eastern Exposure』を観て育ったわけじゃないんだ。
V: 世代が違うもんね。
B: 18歳くらいで昔の名作を観るようになったんだ。そして「これがオレらイーストコーストのスケーターのルーツだ」って感じで歴史をディグるようになっていった。
V: どうやって小さなローカルコミュニティから抜け出したの?
B: 正直言うと、オレの地元にはスケーターなんてひとりもいない。ちゃんとスケートをしていたのはオレひとりだったと思う。例のインドアパークも遠かったし。そしてそのパークで滑るようになっていろんなスケーターと出会ったわけだけど、その中にフィルマーもいたんだ。ポール・ヤングって言うんだけど、そいつに「一緒に滑ろうぜ」って誘われたのがすべてのきっかけかな。
V: 初めてのスポンサーは?
B: ジャージーシティのスケートショップ。もうないけどHolmesっていうんだ。
V: Bronzeとかのスポンサーがついたきっかけは?
B: Bronzeはオレが加入する前から知っているブランドだった。ファウンダーのピーター(・シドラウスカス)はオレがガキの頃に観ていたFlipmodeのビデオを作っていた。ピーターと知り合いになったのはポールがきっかけ。ヤツがオレのフッテージをピーターに送ってくれたんだ。それを観てたぶん気に入ってくれたんだろうね。
V: バギー・トールズっていうニックネームの由来は?
B: オレは15歳の頃からバギーって呼ばれている。ガキの頃は目がめっちゃでかかったんだ。それでパット・デルっていうリスペクトするスケート仲間が「オマエ、目がでかいな。虫みたいだから今日からバギー(虫)な」って。それが定着しただけ。
V: NYを離れない理由は? カリフォルニアに住みたいとは思わない?
B: カリフォルニアで住むとしたらSFかな。移住したいとは思っていないけどSFは好きな街だね。4年連続で撮影しに行っているし。でもNYには仲間がいる。個人的にはノスタルジックな要素も大きい。というのも滑りにくくて難しいスポットばかりだから、NYのスポットでクリップが撮れると最高の気分になれるんだ。でもNYのスケーターはずっと何年もそんなスポットを攻め続けている。だからオレもそこで映像を残せたらヤバいだろ? オレにとっては特別なことなんだよ。
V: ではGrand Collectionにフックアップされた経緯は?
B: 知り合いを通して。さっきも言ったけど、フィルマーのポールがいろんな人と繋げてくれたんだ。ピーターにオレのフッテージを送ってくれたおかげでシティで滑る機会も増えていった。あとはJP・ブレアと知り合ったのも大きかった。ヤツはOGのフィルマー。そうやっていろんな繋がりが増えてGrandのファウンダーのベンに紹介されたんだ。
V: みんなベンのことをリスペクトしているよね。
B: マジで最高の人間だからね。ハエだって殺せないような男。誰に対しても優しくて面倒を見てくれる。ヤツと出会ったときからケアしてくるんだ。
V: Grand Collectionがスタートしたのが2016年で“BUGGY: Nick Ferro”のパートが公開されたのがその翌年。あれはウェルカムパートだったの?
B: たぶんそうだね。「オレの仲間と一緒に滑っているし、もしどこか別の街で撮影したければフライト代を出す」ってベンが言ってくれたんだ。そうしてJPとSFに行ったんだ。
V: だからあのパートにSFのクリップが入っていたんだ?
B: そう。SFのクリップがかなり入っていた。オレにとってあれがGrandの初めてのツアーだった。それまでは自分がフライト代を出してもらえるようなスケーターだなんて思っていなかった。だから「SFで撮りたいなら是非そのフッテージを使いたい」って言ってくれたときはマジでうれしかった。全力で撮影したよ。
V: Grand Collectionの魅力は?
B: ベンが作る最高の洋服だね。クオリティも最上級。キャップもクソヤバい。でもそれだけじゃなく、ベンはライダーの意見をちゃんと聞いてくれるんだ。それにチームもオレがリスペクトするスケーターばかりで一緒に滑ることができる。例えばデイナ(・エリクソン)は大好きなスケーター。ウェイド(・デザルモ)もそう。オレはみんなより年下なんだ。だからオレの中の子供心が「ウェイドだ。ヤベえ!」って。これは敢えてウェイドには言いたくないけどさ(笑)。みんな仲良いし、ジャパンツアーも最高だった。こんなヤバい面子の中にオレを入れてくれるなんて信じられないくらい。スケートレベルもオレなんかより格段上だし。でもみんな最高のホーミーなんだよ。
V: では“Tonal”について話そう。撮影期間は?
B: 正直言うとあのビデオを作るなんて知らなかったんだ。フッテージはつねに撮っていたけど、ベンが突然「東京で試写会するぞ」って言うんだ。「は? どういうこと?」って感じだった。
V: 「何のビデオ?」って?
B: そう。「何なんだよ。ヤベぇ。じゃあ集中してフッテージを撮るから2ヵ月くれ!」って。他にもプロジェクトを抱えていたんだけど、その瞬間から撮れたものはすぐにベンに送るようにしていた。
V: Ssハードフリップからのフェイキーマニュアルのラインの最後にデッキを投げていたよね。
B: Ssハードが好きだったからスポットには6回通ったからね。だからあのトリックができるスポットを見つけたときはトライするしかなかった。でも全然できないんだ。6回通ってやっとメイク。あのトリックじゃなかったらすぐに諦めていただろうけど。それほど撮りたかったんだ。ガイ・マリアーノにシャウトアウトしたい。昔にカーブでやっていたから。ヤツはビーストだね。
V: ああ、あれは『Mouse』のマリアーノにインスパイアされたんだ?
B: その通り。あれは最高だね。
V: スケート以外でハマっていることは? 以前、Jenkemでミックスを公開していたよね?
B: ちょっと前までミックスを作りまくっていたんだ。NYの冬はスケートができなくてやることがなくなるからね。何かやらないと狂ってしまう。ということでずっとミックスを作っていたんだけど、スケートに集中するためにやめたんだ。でも最近はまた作りたいと思っている。スケートしていないときは大体散歩しているかクルーザーボードに乗っている。外でチルしているんだ。外が寒くても家にいるよりましだから。オレは特に才能があるわけでもないから家でやることがないし。裁縫とか何かを作っているわけでもない。だったら外に出てストリートで過ごしたほうがいいってこと。
V: では最後の質問。Grand Collectionがバギーにとって特別な理由は?
B: オレにとってはスクワッドの存在が一番大きいかな。仲間と一緒に滑るのは楽しいし、みんないいヤツばかり。ベンも間違いなく最高。だからわかるだろ? すべてが特別なんだよ。
Buggy Talls
@buggytalls
ニュージャージー出身。NYを拠点にイーストコーストのスタイルを継承するスケーターとしてめきめきと頭角を現すニューカマー。Grand CollectionやBronze 56Kに所属。