史上最年少で銀メダルを獲得してから3年、心身ともに成長した開 心那がTEAM G-SHOCKに新加入。スケートコミュニティ内外で華やかな存在感を放ち、パリ大会でさらなる高みを目指す。
──COCONA HIRAKI / 開 心那
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Photos courtesy of G-SHOCK
VHSMAG(以下V): まずスケートを始めたきっかけは?
開 心那(以下C): 始めたのが5歳のときだからあまり覚えてないけど、両親に苫小牧のBRAYZというスケートパークに連れて行ってもらってそこで滑っていたお兄さんがかっこいい滑りをしてて。自分もああなりたいって思って始めた感じですね。
V: そのかっこいい滑りをしていたお兄さんは誰だったか覚えてる?
C: (冨川)蒼太です(笑)。
V: 北海道でのスケート環境はどんな感じだったの?
C: 今もそうなんですけど北海道は本当にスケートパーク少ないし、あっても本州とか海外に比べたら本当に小さくて。北海道は冬になったら雪も降るしめっちゃ寒いので、すごく厳しい環境です。インドアパークがメインで札幌のHOT BOWLとBRAYZによく行ってますね。
V: トレードマークのノーズグラインドはどのように身につけたの?
C: 最初のきっかけは一緒に滑っていた蒼太なんですけど、自分の努力で身につけた感じです。海外の大会でも女子も男子もこの技を出している人があまりいなかったので、そこをやろうって思いました。
V: トリックセレクションがいいよね。影響を受けているスケーターは?
C: 最初に好きになったのはリジー・アーマント 。最近はWelcomeのチームメイトのジェイク・ヤンコウだったり。あと蒼太(笑)。
V: 全員チームメイトだね。ではスケートで表現したいことは?
C: スケートボードのスタイルをアートのように表現したいなって思ってます。
V: 勝手なイメージだけどあまりグラブをしないよね? クレイルとかはもちろん例外だけど、意識的にグラブをしないようにしているの?
C: 意識的っていうか、なんだろう…。これまでグラインドが得意でやってきて、ノーハンドのオーリーのほうがやりやすいって感じです。
V: 東京五輪では史上最年少で銀メダルに輝きました。その後の生活に変化はあった?
C: 特にそこまで変わってないですね。
V: たしかに変わったのは周りのほうかもしれないね(笑)。では東京五輪の頃と比べて成長したと思うことは?
C: 身長がめっちゃ伸びたおかげでスピードが上がった気がしますね。広いパークでも踏むのがすごい楽になって、結構スピードが出しやすくなりました。
V: ちなみにコンテストに出場するときに気をつけることや必ずすることはある?
C: やっぱり怪我とか体調管理に気をつけてます。あと最近は大会前はお菓子を食べないっていうのをやったり。本番前はKポップ、Rihanna、Taylor Swiftとか音楽を聴いてます。
V: なぜ大会前にお菓子を食べないの?
C: 東京オリンピックのときの選手村に食べ物がいろいろあって、お菓子やアイスもすごいあったんですよ。それで初日にめっちゃ食べてたんですけど、トレーナーとかと話して「大会終わるまで我慢しよう」ってなって2位を取れたから。それで今も我慢するようにしてます(笑)。
V: ジンクスみたいな感じだね(笑)。オリンピックの選手村はどんな感じだったの?
C: 東京オリンピックのときはマンションみたいな棟がいっぱいあって、食べる場所もホールみたいですごくでかい感じでしたね。ひとつの街みたいで国ごとに棟で分かれてました。みんな自分の国のバッジを何個か配られるんですけど、それをいろんな選手と交換し合ったり。 スケートボード以外のいろんな選手と交流できたのですごい楽しかったです。あとは初日に八村 塁選手が棟にいてめっちゃでかかったです。どこでも通る場所で頭を下げながら歩いてました(笑)。
V: ではこれまでで印象的なコンテストは?
C: やっぱりVans Park Seriesですね。あれは楽しいコンテストでした。出てるスケーターも大会の雰囲気もすごい楽しい。2018年のチャンピオンシップから全部出てます。
V: 2019年のフランス戦では優勝したもんね。やっぱりVans Park Seriesは他のコンテストと雰囲気が違うの?
C: 違いますね。他の大会は技の難易度とかでポイントが決められるじゃないですか。でもVans Park Seriesは本当にみんなが楽しんで盛り上げててスタイルが重視されるので。本当に楽しい大会でした。
V: 東京五輪の後は、Forbesの30 UNDER 30やBulgariのAvrora Awardsとかいろんな賞に輝いているよね。なかでも印象的な賞は?
C: やっぱりBulgariのAvrora Awardsが一番印象的でした。場の空気も雰囲気も全然違って、普段着ないドレスを着て。Bulgariのアクセサリーやバッグを身につけて写真撮ってもらって。周りにはすごい有名人や芸能人がいて…。普段体験できないような賞でしたね。
V: ドレスも似合っててかっこよかった。あの賞はAwichの推薦だったんだよね?
C: そうです。ショーの前に対談をして。会った瞬間からオーラがすごかったです。かっこよかったですね。
V: ちなみにWikipediaに「心那という名前の由来は母親がココナッツが好きだから。でも本人はココナッツが好きではない」みたいなことが書かれていたけど、その真偽は?
C: ココナッツというよりヤシの木が好きなんですよ。ヤシの木にはココナッツがついてるじゃないですか。そこから取った感じです。でもココナッツは苦手ですね(笑)。
V: (笑)。TEAM G-SHOCKの加入を記念してWOMEN OF OUR TIMEの動画に出演しています。撮影の裏話があれば。
C: ビデオの音声は撮影したパークオーナーのヴィンテージキャンピングカーの中で録音しました。あと最初のシーンは朝から撮影して、そのときは腹出しのロンTを着てたんですよ。すごく寒かったからウォーミングアップして温めるまでが大変でした。やっぱり短く切ったTシャツが好きなんで。
V: あのビデオの途中で枝を使って何かを編んでたよね。あれは何を編んでたの?
C: あれはミサンガです。東京オリンピックのときはアメリカから日本に帰ってきたので隔離期間があったんですけど、その2週間の間は日本コーチがひとりついてずっと新潟に滞在して。パークと宿泊先の行き来しかできない状況で刺しゅう糸を持ってたんです。それでコーチがミサンガを作れて一緒にやり始めたのがきっかけです。ものづくりが好きなのでハマって、今もずっと作り続けてるみたいな感じですね。
V: そのときのコーチは誰だったの?
C: 才(哲治)さんです。何もやることがなくて暇すぎて。そしたらバッグから刺しゅう糸が出てきて。「これでなんか作ろう」ってなって教えてもらいました。才さんもものづくりが好きですよね。
V: ワックスを食べるって噂だよね。
C: あ、才さんもなんかそんなこと言ってました(笑)。
V: ではG-SHOCKの魅力は?
C: G-SHOCKは大好きなスケートボードとファッションの両方にマッチするので相性もバッチリだと思います。
V: VansやWelcomeにも所属しているけど、お気に入りモデルは?
C: シューズはSK8-HI。昔からVansを履いてるときは絶対にハイカットだったんですよ。形も好きだし足首が覆われてるのが安心感があって好きなんです。Welcomeはノーズとかデッキの形が全部違うじゃないですか。ノーズがカクカクしてるデッキが好きですね。
V: では今後はどんなスケーターになりたいですか?
C: やっぱりかっこよくて自分のスタイルがあるスケーターになりたいです。写真とかビデオを見て「心那だ」って誰もがわかるような。そんなスタイルを持ったスケーターになりたいです。
V: では最後に今後の展望を教えてください。
C: まずはやっぱりパリオリンピックに出ることが一番です。あとはVansだったりWelcomeで撮影したり。いつかデッキやシューズのシグネチャーモデルを出してもらったりしたいです。あとはなんだろう。今はパークスタイルの大会に出てやってるんですけど、ストリートでも撮影したいなって思ってます。
V: それは楽しみだね。
C: 昔からパークスタイルの大会に出てるけど、ストリートも好きで普段から両方やってます。スケートボードって別に自由だから区切る必要ないじゃないですか。だからスリートも大好きです 全然技はまだ持ってないですけど(笑)。
Cocona Hiraki
@cocona.hiraki
北海道出身。2008年生まれ。東京五輪女子パークの初代銀メダリスト。両サイドのノーズグラインドを武器にグローバルに活動。ノーハンドのオーリーやキックフリップなどトリックセレクションに洗練されたセンスが光る。