HUFジャパンチームによる初の映像作品“TOKIDOKI”がついに公開。個性あふれる5名のライダーたちが、それぞれのスタイルをぶつけ合いながら作り上げた本作。その舞台裏や制作過程での挑戦について語る。
──HUF JAPAN

[ JAPANESE / ENGLISH ]
Group shot_Taiyo Tanida
Tour shots_J.O
Special thanks_HUF Japan
VHSMAG(以下V): 今回の“TOKIDOKI”はHUFジャパンチーム初のビデオになるのかな?
星野大喜(以下DAIKI): そうですね。アパレルじゃなくてスケートにフォーカスしたビデオは今回が初めてです。
V: 今回のビデオプロジェクトが始まったきっかけは?
DAIKI: 今回はチームマネージャー長田さん(以下J.O)が会社に交渉してくれて撮影ツアーが実現しました。撮影期間は約1ヵ月だよね?
榊原佳耶(以下KAYA): そうだね。全部で3ヵ月だったけど、数回のツアーで実質1ヵ月。
V: その期間であれだけ撮れたのはすごいね。
DAIKI: J.Oさんが今回のツアーの企画を電話で教えてくれたときに「HUF Japanで10分の映像を出したい」って言ってくれたんですけど、撮影期間が1ヵ月くらいで「めっちゃタイト!」みたいな感じで。 でもやっぱりこういうチャンスくれたから全力でやりました。
—KAYA
V: 撮影を振り返ってどう?
DAIKI: 毎回ツアーもハードだったし、大変っていうか、ひたすらスポットをヒットする感じでした。面白かったですよ。こういう短期間で映像を撮って出させてもらえる機会もないから。すごくいい経験になりました。
柿谷斗輝(以下TOKI): こういうの初めてやったんで、めっちゃ面白かったですね。 いろんなスポットに行けたし、大阪でよく見てるスポットとかもみんながやったら全然違う感じになるし。それを見ててめっちゃ面白いなって。
KAYA: オレは単純に…何だろうな、めっちゃスケボーの楽しさというか。みんなやる場所も違うしスタイルも違うし。このチームで動いて改めてスケボーの楽しさを教えてもらいました。いいツアーだったかな、オレの中では。次の目標も決まったし、ひとつのステップになったかな。
菊池泰世(以下TAISEI): 今回こういうツアーは初めてで。体調不良であんまり参加できなかったんですけど、自分のできるところは全力でやりました。いつもと違う体験をさせてもらっていい経験になりました。
佐々木真那(以下MANA): 自分が参加できたのは最初の大阪だけでした。今までチームでひとりひとり会うこととか滑ることはあっても、 みんなで集まって一緒にスポットに行って滑るとかはなかったし。やっぱりツアーだとみんなと一緒になって滑れるのが良かったです。スケボー以外でも、ご飯を食べたり、一緒に泊まったりとかも含めて。なんかこう、チームとしてのまとまりみたいなところはやっぱりツアーをやると感じるなって。
V: じゃあなおさら特別なプロジェクトだったってことだね。
DAIKI: でも今回のツアーはマジでめっちゃカオスで。まずファーストツアーは足を鬼グリしてたんですよ。本当に毎日湿布を貼って、ロキソニンを飲んで、みたいな感じで滑ってて。真那も足を怪我してたよね。
MANA: うん、足の裏がずっと痛くて。
DAIKI: それで泰世も体調が悪くて。それで2回目のツアーは全員体調不良。まず真那がインフルだったよね。泰世も体調が悪くて、佳耶もめっちゃ体調悪そうに来て…。オレも合流する何日か前に体調が悪くて。ツアー中に全員が風邪ひいて。
KAYA: オレはたぶん大喜と会ってたから風邪をもらったのよ。それでツアー当日に倦怠感ヤバいみたいな(笑)。
TOKI: オレだけめっちゃ元気じゃなかった?
KAYA: MCが一番もう…(笑)。
V: なんで斗輝がMCなの?
DAIKI: 移動の車中で佳耶が日本のラップの曲とか流してて。それでふざけて「YO!」ってフリースタイルみたいな感じで絡んでて。「カモン!」って言っても斗輝は「いや、オレ無理っすよ」って言ってたんですけど、「いや、オレも無理だから。適当にやってみてよ」って言ったらいきなりスパークし始めて。そこからMCになったんですよね(笑)。
KAYA: ずっとMC TOKIDOKIって呼ばれてて(笑)。
V: 今回のビデオのタイトルはそこから来たの?
KAYA: オレはそうかなって思ってます。斗輝ワールド全開でしたね(笑)。
TOKI: 一生喋ってるってだけですよ。
DAIKI: いや、もう超頭痛くなった。マジで超ヤバいんすよ。
KAYA: 「マジ1分黙って」とか車内で始まりますからね。「5分黙って」とか(笑)。
DAIKI: たとえばお店入るじゃないですか。緑の壁があったら「うわ、緑や! バリヤバいやん!」って始まって。「天井鏡やー。おーい!」みたいな。マジでそんな感じを24時間フルでイケるタイプなんです。車に乗ってても、目に見えるもの全部に反応してて。ずっとそれを耳元で聞かされて車酔いみたいになり始めて。「ごめん斗輝。マジで3分だけ、ちょっと黙ってほしい」みたいな。ずっとそんな感じだったよね。
TOKI: な。オレも自分でそんな人やと思ってなかったんすよ。
DAIKI: でもあれっすよ、ウザいとか思ったんじゃなくて、普通に好きだけど、単純に凄すぎるから。「ちょっと、ちょっと待って」ってなったっすね。
V: じゃあ撮影期間もタイトで、体調不良もあって、斗輝の新たな才能も開花して、結構大変だったと。そんな感じで完成した作品の中で印象に残ってる自分のトリックは?
MANA: 印象に残ってるのはレールオーバーのフロントフリップ。その前のスポットで板が海に落ちちゃって、セットアップを全取り替えになったんです。普段はトラックとかウィールとか全部替えると結構調子悪いんですけど、意外とまだ馴染んでないトラックが調子良くて。なんかビタッて食いついてくれて「よかったー」みたいな。
TAISEI: 僕はブラジルっていうスポットのアーリーウープのダブルフリップ。早朝の限られた時間で決めなきゃダメで。最初は全然できなくて不安だったけど、何回かやって慣れてきてメイクできたのがうれしかったです。
V: パークのイメージがあるけど、ストリートでの撮影は普段してない感じ?
TAISEI: これが本当に初めてで。やったことなかったからどんな感じかわかんなくて。だから本当にいい経験になりました。
KAYA: オレは三重のスポット。大喜たちの撮影で向かったハンドレールまでの道中にバンクインのスポットがあって、そこでやったノーリーヒール。あそこは上に草とかがあってプッシュすらできない感じで。それでベニヤを敷いてワンプッシュで行くみたいな。あんなバンクなかなかないじゃないですか。下もちゃんとアールになってるし。あれが結構印象的でしたね。
DAIKI: オレはフリップのバンクイン。でもあそこには2回行ってて。1回目は夕方で帰る前のめっちゃ暗い中トライしたんです。結構トライしたんですけど、マジ暗くて板も見えなくて。ノーズもチップしまくってテールもバキバキになったからデッキ替えたんですよ。でもシェイプが違くてめっちゃ調子悪くて断念。それでリベンジしに行って、そのときもなんか調子が悪くて「無理かも」みたいになってたんです。そんな自分にイライラし始めて。とりあえず1回乗るつもりで飛んだら板が真下で回って比較的すぐメイクできました。
KAYA: いや、もう吹き飛ばされるぐらいもう全部忘れちゃったよ、あの一瞬で。本当に痺れた。下で見てて「おー!」ってなっちゃったもん。
DAIKI: しかも前にジェイク・ジョンソンがフリップをトライして諦めてるって聞いて。オレはフリップに自信があるから、自信のある技で乗れなかったからめっちゃ悔しかったんですよ。
TOKI: オレはウッドデッキからステア越えのバリアルヒールですかね。ちょうど1年ぐらい前にHUFのアパレルの撮影でトライしたんですけどできひんくて。それで今回のツアーでバリアルヒールをリベンジしたみたいな。
V: 顔を怪我してたけど、あれは何だったの?
TOKI: 顔はバリアルヒールしたときにデッキが跳ね返ってきて。ちょうど今も顔が折れてるんですけど。鼻と目の骨が折れてるみたいで、病院にもう一回来てくださいって言われて、まあ、まだ行けてないんですけど(笑)。
KAYA: キング・オブ・ブローカー(笑)。
V: ちなみに今も足にギプスをしてるけど、現在の状況を教えてもらえる?
TOKI: くるぶしの上に骨が2本あるじゃないですか。その外側の下のこぶみたいなところが縦斜めに「スパン!」って。
DAIKI: ミスった割り箸みたいな。
TOKI: そうそうそう、うまい! 最初は捻挫したと思っててん。その日は痛いなぁと思いながら普通に歩いてて。それで病院に行ったら「 折れてます」と。「えー!」って(笑)。
V: ちなみに東京の試写会のDJは佳耶くんの父親なの?
KAYA: はい、パパっす(笑)。いや、なんて言うんだろう。やっぱりHUFはファミリーを重視するブランドだから。お父さんは横浜で店をやってるんですけど、そこにカメキョーくんも行っててDJを聞いてて。いつか一緒に何かできたらいいねって言ってたんですけど、今回のプロジェクトが決まってお父さんを初ブッキングしました(笑)。今回は自分たちの繋がりで完成できた感じがしますね。
—DAIKI
V: では今回のビデオのラストトリックについて聞かせてもらえる?
DAIKI: あのレールはオレがフリップやったスポットの隣なんですよ。フリップを一度トライして断念した日にも見に行ってて「このレールやりたい」って言ってて。無事にフリップをメイクしたんですけど、そのときはアドレナリンが切れてたんですよね。そしたら斗輝が陰でぶち上がって「オレも何かやらな!」みたいになってて。それであのレールで50-50やることになって。無理に攻めて怪我するのもイヤだったんでそのときはやらなかったんですけど、やりたかったスポットだったから斗輝が先にメイクしたのが結構悔しくて。それでステイ先に戻って映像見てるときに「このレールかっけぇんだよな」ってみんなでしゃべってて。それで「カメキョーくん、明日このスポットに戻ってもいいですか?」みたいな。それで次の日に戻ってやったって感じです。
V: どれくらいかかったの?
DAIKI: オレも斗輝も2発です。
TOKI: いや、でも怖すぎて。自分の頭をデッキで叩いて、気合い入れたりして。 一生独り言しゃべって。「いや、怖いなぁ」みたいな。 なんかずーっと、しゃべって、しゃべってやった感じです(笑)。
DAIKI: その日に板のサイズを8.25から8.38に替えたんですよ。そしたらウィールベースが変わって、自分でやりたいって言って戻ってきたのにめっちゃ調子が悪くて。端っこの方で頭抱えて自分を追い込んでて…。とりあえずフルプッシュでステアを飛んで。ウォーミングアップは自分のマインドセットを整えるので時間がかかったけど、それからたぶん10分もトライしてないよね?
KAYA: 秒。てか1発目からイケてたから。メイクしたときは言葉が出なかったです。でも最初ヤバかったんですよ。トライする前の大喜はもう鬼ブチギレっすよ。話しかけられる雰囲気じゃなかったもんね。
DAIKI: そういう状況になったけど、行ったからにはやらないとって感じだったから。今回の撮影はプレッシャーがすごかったんですよ。期間が短いし、HUF Japan初のビデオで10分撮らなきゃいけないし。中途半端なものを出すわけにいかないじゃないですか。J.Oさんが頑張って持ってきてくれたプロジェクトだし。だから正直、今回の撮影期間中はずっと精神的に食らってたんですよ。あのバックリップはそんな状況のラストツアーでの出来事だったんですよ。オレの世界の中だけですけど、結構カオスでした。みんなそれぞれあったとは思うんですけど。オレはそういう状況でした。
V: では次のビデオプロジェクトが実現したらどんなことをやりたい?
DAIKI: HUFのチームで地方に行きたいですね。たとえば東北なら東北全部の県を回ってローカルのスケーターたちと一緒に滑る日とかも作って、HUFのプロモーションをしたり。そういうことをしながらストリートをヒットして東北ツアーのビデオを出すとか。地域のスケーターと交流しながらストリートで撮影して映像を出せたら面白いと思いますね。
MANA: 韓国とか台湾とかみんなで海外に行ってみたいですね。国外だとスケボーもそれ以外も新鮮だから、またフレッシュなものが生まれるのかなって思ったりします。
KAYA: HUFを通して、このメンツでスケボーの楽しさを追求して、いいクリップを残して、いろんな新しい動きを手に入れられたらなって思います。
TAISEI: まだストリートに全然詳しくないから、このメンバーで動いていろいろ教えてもらえたらいいと思います。
V: では最後はMC TOKIDOKIに締めてもらいましょうか。
TOKI: マジっすか、うわーむずっ! とりあえず怪我を治します!
HUF Japan
@hufjp
ジャパンチームは星野大喜、榊原佳耶、佐々木真那、柿谷斗輝、菊池泰世の5名を擁する。故キース・ハフナゲルの「FUCK IT」のアティチュードでストリートを席巻中。