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記念すべきKYLE PRO 2リリースタイミングでのインタビュー。この日は奇しくも地元オクラホマで7月21日に制定された氏の功績を祝福する“カイル・ウォーカー・デイ”。
──KYLE WALKER

2020.07.29

[ JAPANESE / ENGLISH ]

Photos courtesy of Vans
Special thanks_Vans Japan

VHSMAG(以下V): Vansのシグネチャーコレクションのリリースおめでとう。アパレルのデザインに地元オクラホマの州花であるバラが使われてるよね。オクラホマはどんな感じ?

カイル・ウォーカー(以下K): まず暑いね。今は夜の7時なんだけど、それでも30℃を超えてるから。暑い気候に慣れてるから、他の場所はどこでも天国のように感じる。でもスケートシーンはメロウだから調子いいね。

V: スケートを始めたのは?

K: スケートを始めたのは小学3年生の夏。8歳半だね。

V: 当時のオクラホマのシーンはどうだったの?

K: カルフォルニアやパリと違うのは確か。路面がかなりラフなんだ。当時はホーミーとガソリン代を出し合って車でスポットを探して滑ってた。どこに住んでてもみんなそんな感じだと思うけどね。スポットはあまりなかったけど、誰も滑ったことのないユニークな場所を探してた。人口は南カリフォルニアよりはるかに少ないから、どちらかといえばシーンは控えめな感じかな。

V: 当時影響を受けたスケートビデオは?

K: 当時観てたのは『In Bloom』、『This is Skateboarding』、『Prevent This Tragedy』、ZeroやFlipの作品、411VM。『DC Video』もだね。グレッグ・ハントの作品はヤバい。間違いない。

V: カイルはかなりでかいスポットを攻めるよね。そういうスケートスタイルは誰の影響が大きいの?

K: まず頭に浮かぶのはレオ(・ロメロ)。あとは(アンドリュー・)レイノルズ。Vansに加入したばかりだから最高だね。

V: そうだね。ウェルカムクリップでHalf Cab履いてバックサイドフリップしてたよね。あれはかなりクラシックだった。

K: 間違いない。それ以外だと(ジョン・)カーディエル。

V: ちなみに今はオクラホマにいるんだよね?

K: そうだね。16歳でオクラホマを離れてしばらくカリフォルニアに住んでたんだ。今は26歳なんだけど、オクラホマにマイホームを買ってカリフォルニアを行き来しようとしてる。やっぱ地元に家族や仲間がいるから。でも昔と比べるとオクラホマのスケートシーンは徐々に大きくなってる。街の人たちが協力してくれてるんだ。ダウンタウンにスケートパークがあるんだけど、これまでは中央の部分が芝生になってたんだ。でもそこに新しいセクションが増設された。若い世代が楽しそうに滑ってる光景が見られるのは最高だよ。オクラホマを10年離れて地元とカリフォルニアを行き来してきたけど、スケートシーンが成長してるのを感じられるのはドープだね。

V: オクラホマの州花をデザインに取り入れてるだけにカイルは地元愛が強いんだよね。

K: オクラホマは比較的小さな州だけどいい人が多いんだ。オレの地元は「竜巻街道」って呼ばれてて竜巻が多い。どうしても危険が多いからコミュニティの団結力が自然と強くなるんだ。住む場所として最高とは言えないかもしれないけど、文句ばかり言ってられないということを学ぶことはできる。何があっても仲間と助け合いながらどうにかしないとダメなんだ。ありがたいことに地元には仲間や家族がいる。自分ひとりじゃ何もできないから。

V: 2013年にVansに加入したんだよね。どうやってフックアップされたの?

K: TWSのアワードでフックアップされたんだ。当時はadidasのフロウでよくチマ(・ファーガソン)とVolcomのツアーに出てた。ヤツにはかなり助けられてきた。何度かVansに誘われてたんだけど、TWSのアワードで「よー、ジェイミー・ハート(TM)に話してみるか?」って言われて。オレはまだ若かったからちゃんと取り合ってくれるか不安だった。とりあえず話してみようって感じ。それで話したら「明日シューズを送るよ」って言ってくれて。社交辞令かもしれないと思ったけど、ちゃんと翌日に連絡が来てシューズを送ってくれたんだ。Vansのお世話になることになったのはそれから。オレのような若いガキをチマがフックアップしてくれたってわけ。約束を守ってくれたジェイミーにも感謝してる。

V: じゃあチームに加入してすぐに『Propeller』の撮影を始めたの?

K: そうだね。すぐに始めたと思う。作品そのものの撮影期間は5年ほどだったと思うけど、4年目に合流した感じ。

V: そうして2015年に『Propeller』のパートがあって、シグネチャーモデル第1弾をリリース。さらには"No Other Way"が出て翌年にSOTYを獲得。短いスパンで盛りだくさんだったよね。どうすればそんなに結果を残せたの?

 





 

K: オレにもわからない。たしかに振り返ると「ヤバい。短い期間でマジであれだけ残したんだ」って思う。『Propeller』の撮影は楽しかった。人生が変わるような出来事だったし、あの作品の撮影ツアーで今のホーミーたちと出会うこともできた。リスペクトしてたスケーターと動いて、みんな地に足のついた最高の連中だって知ることができた。幸運にも生産的に動くことができた。然るべき人といいヴァイブスを共有しながらスケートして、楽しんで、物事を真剣に考えすぎずに動いてるうちにいろんなことが形になったんだ。本当に感謝してるよ。

V: 実際、SOTYは狙ってたの?

K: 他の人はわからないけど、オレはずっとスケートしながら目標を設定し続けてきた。オレにとってはそれが大切だったんだ。特にSOTYを狙ってたわけではないけどね。フッテージも量産できてたし、“Surveillance”パートもドロップしてた。とにかく生産的に動こうと心がけてたんだ。それが結果に繋がったってことなのかな。アーニー(・トーレス)にSOTY獲得を告げられたときも実感がなかった。でもSOTYは確実に忘れられない出来事だったね。
 


 

V: パートの公開のスパンとかを考えるとずっとツアーに出てるイメージがあるけど実際はどうなの?

K: 新型コロナ以前はそうだったね。ずっとツアーに出ててかなり忙しかった。ノンストップで動き回ってた感じがする。でもオレは生産的に動くのが好きだから。何もしないでずっと座ってるのはイヤなんだ。時間は賢く使わないと。でも今はパンデミックのせいで複雑な感じだね。ツアーがなくなって自分のペースでスケートしてる。身体を休めることができるのはいいけどね。

V: ではリリースされたばかりのシグネチャー第2弾、Kyle Pro 2ついて。

K: ベルクロのストラップがなければ、シルエットはほぼ1stシグネチャー。前作と似たような感じにしたかったんだけど、やっぱSlip Onが好きだから。Vansに加入した頃はずっとSlip Onばかり履いてた。洒落た感じがいいんだ。でも1週間、毎日履いてるとどうしてもフィットがゆるくなっちゃう。だからSlip Onを頑丈にして、ベルクロストラップでフィット感を向上させた感じ。しかも前作に続いてWafflecupとPop Cushを採用した。ボードフィールと履き心地良さを追求しながらクッション性もある。気に入ってもらえるとうれしいね。エレガントに仕上がったと思うよ。

V: アパレルに関しては?

K: 今回リリースされたのは1stドロップなんだけど、まずVansロゴとバラを配したシンプルでベーシックTeeやフーディ。ワイルドなデザインも好きだけど、時代に流されないようにするにはシンプルが一番。クラシックなアイテムにバラのデザインが映えてると思う。デザインにバラを採用するのはありきたりとも感じたんだけど、オクラホマの州花がバラだっただけにこれしかないと思ったんだ。2ndドロップもジャケットとかが予定されてるからお楽しみに。

V: いい感じだね。今回のコレクションのCMは予定されてないの?

K: CMは用意してるけど年末にドロップする予定。でも新型コロナの件もあるから、もしかしたら来年頭に延期になるかもしれない。パンデミックの前にオクラホマとポルトガルで撮影を終えてたから良かった。今回のCMはオクラホマのヴァイブス満載なんだ。義理の父親も出演してるし。オレにとっては本当の親父のような存在で、彼の育った農家も訪ねた。子供の頃の思い出がたくさんある場所だよ。

V: ところでスケートに関して、ハンドレールとかステアとかトリックのサイズをこれ以上大きくするのは大変だよね。今後はどうするの?

K: たしかにヒザはずっと18歳のままじゃないから。でかいスポットを攻めるのは楽しいけど1日中ずっと飛び続けるのはきついよね。だから5トライとかで完璧なメイクが求められるんだ。でもスタイルを少し変えようとは思ってる。次のパートはもっとユニークな感じになる予定。もちろんステアやハンドレールはあるけど、もっとマニュアルとかテクニカルなラインとか。長いラインは絶対に組み込みたいね。

旅やスケートから学んだことがオレにとっては一番大切

V: これまでに成し遂げたことのなかで一番印象的なものは?

K: やっぱりSOTYになるのかな。今もまだ現実のような感じがしないし。でも旅やスケートから学んだことがオレにとっては一番大切かな。仲間と旅して『Propeller』の撮影をして、忘れられない思い出を作って…。マジで感謝しかない。

V: では最後に。今はパンデミックでおかしな時代だけど、今後の予定は?

K: 今はいろいろできない時期だから地元のコミュニティのために何かしたい。実はオクラホマにオレの日が制定されてて、明日がそれなんだ。日本だとまさに今日だよね。Tシャツやフーディを作って、売上をがん基金やBLMに寄付するんだ。とりあえず直近はそれだね。おかしな時代だけど、何が起きててもそこに光を見い出さないと。ポジティブに生きたい。まあ、そう言うのは簡単だけど、まずは周りのみんなのためになにかやらないとね。

 

Kyle Walker
@kwalks

1994年生まれ、オクラホマ州出身。規格外のテラインの攻めっぷりは業界トップ。2016年度のSOTYでオクラホマ州の英雄。Vansからシグネチャーモデル第2弾Kyle Pro 2をリリースしたばかり。

 

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