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PUMA SKATEBOARDINGによる2NDビデオ『IVY』がリリース。フィルマー/ディレクター/ライダーの戸枝義明に、本作完成までのプロセスを聞いた。
──YOSHIAKI TOEDA / 戸枝義明

2024.07.24

[ JAPANESE / ENGLISH ]

Portrait_Waguri
Group photo_Kaisei Yamaguchi
Special thanks_PUMA JAPAN

 

 

VHSMAG(以下V): まずPUMA SKATEBOARDINGに加入した経緯からお願いします。

戸枝義明(以下T): PUMAから誘われたのがきっかけです。どういう動きがあるのかそのときは知らなかったので、考える時間をもらいました。何ヵ月か悩んだんですけど、チームとしての活動があるということで参加することにしました。

V: 戸枝くんが加入した頃はすでに1stビデオがリリースされてたんだよね?

T: すでに1本出ていました。僕が加入してウェルカムビデオが公開されたのが昨年の秋だったので。
 

 

V: そもそもフィルミングをはじめたきっかけは?

T: もともとはNikonのフィルムカメラを使って写真をずっと撮ってて。デジタルの一眼で映像も撮れるってなった時期が2010年とかだったんです。持ってるNikonのレンズはそのままに、写真も映像も撮れるボディに変えて撮影したら「いいな」と思って。当時は海外によく行ってた時期で、一緒に動いていたフィルマーのアンソニー・クララヴァルがちょうどVXからデジタルの一眼に変えた頃でした。そのときにいろいろ教えてもらって「一眼で映像を撮るのは面白いな」って思って始めた感じです。それでボディを買って日本で撮ってたんですけど、一眼で撮ってる人はまだ全然いませんでした。「そのカメラで映像撮れるんですか?」ってよく聞かれていました。そのときは松尾(裕幸)くんとか小島優斗とかとよく動いてて、自分が滑らないスポットでサブアングル的な感じで撮って映像を渡していた感じでした。

V: 今回のビデオプロジェクト『Ivy』にメインフィルマーとして携わるようになったのは?

T: ライダーとしてPUMA SKATEBOARDINGに誘われたときにすでに1本目のビデオが出てて、若手がみんなヤバいじゃないですか。ネギソラ(根岸 空)だったり、(有馬)昂希だったり。(齋藤)吟平や(戸倉)万汰廊もいるし。その中で自分が同じレベルで滑れるかなっていうちょっとした不安があったんです。その世代の上のポジションとして入ってほしいみたいな感じだったんですけど、中途半端な滑りでそこに入るのも自分的に100%の自信はなかったんですよね。それで映像も撮れるから、ライダー兼フィルマーみたいな感じだったら僕的にも入りやすいみたいな。ライダーとしてスポットを回って自分が撮れないときに、撮る側として手伝えることがある方がチームの一員として現場に行きたいってなるし。メインのフィルマーじゃなくてサブでもいいし、撮る側も含めてチームに貢献できればと相談しました。そしたらSNS用の撮影とかを組んでくれて、フィルマーとしての役割も与えてくれたって感じです。

V: SNSの撮影はどんな感じだったの?

T: 最初は毎月チームで集まってパークとかに行って、撮れた映像をPUMA JAPANのインスタで月に4本くらいアップしてました。今は2ヵ月に1回くらいのペースですかね。

V: なるほど。そうやってPUMA SKATEBOARDINGでライダー兼フィルマーとしての活動が始まったわけだけど、今回のビデオプロジェクトがスタートしたのは?

T: チームに参加した次の年、つまり2024年にチームビデオを1本作るっていう話がもともとあったんです。SNSの撮影でチームのみんなともコミュニケーションが取れたので。まず昨年末にビデオプロジェクトの話をもらって「冬に始めよう」ってことだったんですけど、ちょっとずれて3月に撮影をスタートしました。前作は半年くらい撮影期間があったらしいんですけど、今回はギチギチでした(笑)。

緑からタイトルを取りたいと思って出てきたのがアイビーグリーンのIVYだった

V: 結構タイトなスケジュールだね。Ivyというタイトルは戸枝くんのアイデアなの?

T: 僕のアイデアです。最初はコンセプトが思いつかなかったんですけど、ある程度映像が集まってトリックや素材を並べたときに、スタートが春だったからスポットに緑が多かったんです。新緑というか、きれいな緑が多くて。どこのスポットに行ってもすごく緑なんです。枯れてもないし、夏の緑でもないみたいな。4月に行った沖縄ツアーの映像も入ってるんですけど、自然のスポットにももちろん緑があるし。僕は前回のビデオに関わってないから、そこも意識しました。「どう違うものに作れるか」っていう。前回はスポットを全部東京に縛ってた作品だったんで、逆に今回は沖縄だったり、それこそ昂希がいるので横須賀にも行ったりして。自然が多いスポットも多くて本当に緑が多かった。それで緑からタイトルを取りたいと思って出てきたのがアイビーグリーンのIvyだったんです。

 

 

V: では撮影や編集においてこだわった点は?

T: 普段からそうなんですけど、撮り方に関してはあまり奇抜なことはしたくないんです。変わったアングルとか独特なオリジナリティとか。オーソドックスなスケートの映像が好きだから、撮り方にそんなに特徴がないと思います。やっぱり撮る側も編集する側も裏方じゃないですか。それがライダーのトリックより前に出ちゃうのが嫌だなって思って。「トリックもヤバかったけど、撮り方もヤバいね」ってなっちゃうのが嫌なんです。「ライダーが一番ヤバかった」ってなってほしいから、それがこだわってる部分です。「自分の撮り方がある」みたいなこだわりは逆にないです。

V: では影響を受けたフィルマーは?

T: いっぱいいますね。最初の頃だったらTWSを撮ってたタイ・エヴァンスとかジョン・ホーランドも好きだったし。最近だったらカイル・カマリヨとかめっちゃ好きです。それこそ撮って滑れる人でいったらグスタフ・テンネセンとかも好きだし。めっちゃいますね。

V: 一時期はずっと日本と海外を行き来して活動してたから一流のフィルマーと仕事する機会が多かったよね。一緒に動きながらいろいろ学ぶことがありそう。

T: そうですね。それこそアンソニーとは本当に仲良くて、僕の基本的な英語はほとんど彼から教わってるくらい。映像のことも何でも教えてくれるから自然に吸収できたと思います。今でも機材やレンズの話をしますね。

V: では今回の『Ivy』のスケート以外の部分、使用楽曲やアートワークとかについて聞かせてください。

T: 楽曲に関しては結構悩んだんです。自分の周りにHip-Hopやってるアーティストが結構いるから、その辺に頼めば別に音源は困らないんすけど…。でもそうすると僕の場合、Dobb Deepとやってることが近くなっちゃう。なんかそれをPUMAに持ってくるのは違うなっていうのもあったし。チーム的にもどういう音がハマるんだろうって探ってたときにOlive Oilさんが良さそうだと思って。Hip-Hopだけどいろんな音が入って3Dっぽい雰囲気の感じとか。いろんなライダーがいるチームの映像にハマりそうだなと思って。もともと交流もあったんでオファーしてみたら快諾してくれた感じです。アートワークに関してはOlive Oilさんの兄弟でPopy Oilさんという人がいて、その人も一度ご飯を食べに行ったことがあって。Olive Oilさんの曲でスケートの映像を作るんだったらPopy Oilさんも何かこう足してもらえたらいい色になりそうだなって思いました。それでそっちも快諾してもらえました。

V: いいコネクションでまとまった感じだね。では撮影中のエピソードについても聞かせてください。上は米坂淳之介から下は齋藤吟平まで、いろんなタイプのライダーがいるよね。この3ヵ月半の撮影で印象深かった出来事は?

T: プレッシャーはハンパなかったです。でも淳之介くんは普段から一緒に滑ったり撮影もしてるからナチュラルな感じでした。淳之介くんのテクニカルトリックはすごいですよ。2時間半かけて撮れたトリックもありますし。淳之介くんは体調の都合で昨年は半年間くらいまったく滑ってなかったんです。その前も前回のビデオで鬼グリして3、4ヵ月動けなかったらしくて。だから1年近くずっと身体を動かしてない状態で今回の撮影が始まったんですけど、滑り出しとか結構大変そうで。体力も落ちてるしみたいな。でも撮影しだしたら、2、3時間滑って完璧にメイク。僕もとことん付き合うつもりでしたけど、やっぱり「この人、本当にすごいな」って思いましたね(笑)。

V: 戸枝くんは同じテクニカルスケーターとして、特に撮影される側の気持ちがわかるからこそとことん付き合うよね。他のライダーはどうだったの?

T: やっぱり吟平とか(中野)虎太郎とかすごいと思いました。今の時代の上手さを持ってるんです。メイクが早いし、スポットの対応力もすごい。特に吟平は今年16歳なのにめちゃ玄人だと思いました。でかいステアも上手いけど、それ以上にクイックで乗って曲がってからすぐトリックやったりとか。若い頃って最初はストリートの難しさに食らうと思うんですけど、逆に誰よりもこなしちゃってて。

V: ライダーとしてだけじゃなく、今回フィルマーとしてチームとコラボレーションしたわけだけど、特に楽しかったことは?

T: 撮っててずっと楽しかったです。普段一緒に動かないライダーと動くこともできたし。後半はChuulipのタベちゃん(渡部将太)とナオヤン(諸橋直哉)もフィルマーとして手伝ってくれました。都内の夜のセッションは吟平、空とか虎太郎とかを撮ってくれていろいろ情報を共有してくれたり。そうやっていろいろ進んでいくのが楽しかったです。スケジュールはタイトだったけど、逆に3、4ヵ月のプロジェクトはいいと思うんですよね。他のツアーを入れずに集中できるから。

V: PUMA SKATEBOARDINGの2ndビデオである『Ivy』が無事公開されて一区切りついたわけだけど、ブランドとしての今後の活動予定は?

T: 今後もこうやってストリートで動いて行きたいですね。やっぱりスケートのチームってそういうものだと思うし。でもみんなでたまに集まってパークで滑るSNSの企画も好きです。地元の仲間なら簡単だけど、いろんなライダーがいるブランドで定期的に集まるって意外と難しいから。あとは夏にフットボール由来のスケートシューズがリリースされます。それ以降は未定ですけど、また撮影ツアーとかを続けていければいいですね。

 


‘80年代に誕生したPUMAのPalermoをスケート仕様にアップデートしたハイスペックモデル。Palermo Skate 各色すべて¥14,300

 

Yoshiaki Toeda
@chatty_toeda

1985年生まれ。神奈川県出身。湘南が誇る元祖スイッチマスター。PUMA SKATEBOARDINGの最新作『Ivy』ではディレクター、メインフィルマー、ライダーとして参加。

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