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シンギュラリティ
──AI

2023.03.31

 「AI(人工知能)の発達がいよいよヤバくなってきている!」とはここしばらく見かけるニュースの話題。イメージをインプットすれば人間よりも優れた絵を描きはじめるようになったし、実物とまるで区別のつかない写真も生成される時代になりました。たとえば先日見かけた記事の中には、「広告用のファッションモデルももはや不要になりつつある」と書いてあるものも。モデルの手配や打ち合わせ、写真家を用意して撮影スポットへ向かい、撮影、そして編集…とこれまで当たり前に行われていたプロセスも、AIを使うことでそのブランドの服を着た人間のイメージ図がすぐさま出来上がってしまうらしい。
 人間のする仕事がAIにとって代わり、この先次第になくなっていく職業も実に多くリストアップされていて、産業革命になぞらえてそれに戦々恐々とする人も増えているのではないでしょうか。ひと昔前は人気就職先であった銀行も業務効率化のもとリストラが進められ、新卒採用人数も減ったらしい。AIによる社会変革の波が生活に影響を及ぼし始めているように思います。そして10年後にはそこらじゅうを自動運転車が走りまわっていることでしょう。
 AIがスケートボード界隈に及ぼす影響みたいな話題はこれまで聞いたことがありませんが、もしその波がやってくるのであればそれはスケートボードの製造業なんかに使っていただき、よりタフで、トリックのやりやすい、そんなギアやシューズを開発していただきたいものであります。スケートパークの設計・開発にも取り入れられたら滑り心地の素晴らしいものだってできるかもしれません。逆にAIがコンテストのジャッジなんか始めたりしたら大変だ。スケーターそれぞれの創造性やスタイルなんてのが機械にジャッジされるのはなんだか気持ちが悪い。「このトリックをメイクすれば何ポイントですか?」なんて平然と聞いてくるキッズの親御さんもいらっしゃるようですが、それが当たり前になりかねません(コンテストで高得点狙いのトリックを繰り出し、またそれに向けて努力するのは大いに結構なことですが、それを何ポイントとかって決めつけるのは違うんだよぉ…)。
 スケートビデオを観ていて、あり得ないようなメイクに「これ、実は編集で作ったヤツなんじゃない?」と疑ってかかることもありましたが、いよいよそんな映像も作り出せるような時代が到来するかもしれません。スケートブランドの広告でもあり得ないフォトが見られるかもしれません。しかしそれを本気でやっちゃうと一気にブランドも信用ガタ落ちでしょう。スケートボードっていう、アナログな乗り物は人間が時に派手にスラムし、時に珍事件に巻き込まれながらトリックをやって遊び、進化していく姿が一番イイのであります。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 



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