20年、30年前にリリースされ人気を博したデッキやスニーカーが復刻されるのをよく見かけます。歴史が巡り、古くなっていったはずのそれらは今また新しいモノとして若者に受け入れられる一方、当時のムーブメントを通ってきた世代はつい懐かしさを感じてしまいます。「復刻モノを見て懐かしいって思うのは、オジサンになった証拠だよ」と、ある先輩が言っていたのにも頷けます。
とは言え、過去の人気モデルが現代に甦るのもごくごく一握り。特にスニーカーなんか、「当時話題だったアレ、今また欲しい」みたいのは思いつく限りでも両手に収まらないし、同世代と話すと盛り上がる鉄板ネタのひとつであります。そもそも時代について行けなかったり、紆余曲折を経て消滅するブランドも少なくありません。いくら一時の話題になったからとてそれらは甦ることもなく、僕らの記憶の中で次第に薄れていってしまうものがほとんどなのです。
デッキも然り。自分より一周近く上の世代のスケーターが現在に甦る当時の復刻モノなんか見てあれこれ盛り上がる気持ちもわかるようになってきました。'00年代にスケートを始めた僕。当然、当時流行していたデッキなんて見かけるとつい反応してしまうのです。あのボーダー柄が特徴的なAestheticsのチームデッキを持った方をパークで見かけて、見知らぬ方であるにもかかわらずズカズカと話しかけてしまったりするわけです。これもまた当時人気のあるものだったのですが、ブランドは短命に終わり、そして復刻されることもなく記憶の隅っこへと追いやられていってしまうものなのでしょう。
特にコレクターでもない自分は当時の現行モノに特別な価値を見出し値が張る買い物をすることもなければ、欲しいのが復刻すればそれでイイやって思う派です。しかしやはり一昔前のモノを見かけるとついぐっとくるものがあるのです。たとえそのお店が、過去のスケートブームに乗っかって仕入れたまま長年売れ残っている黄ばんだウィールであったり、リサイクルショップにテキトーに置かれた今はなきスケートブランドのモノであったとしても。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)