'90年代初頭…つねにどこかで新しいトリックが編み出され、ストリートスケートが目まぐるしく変わっていく様が、その時代のスケートシーンに浸かっていなくとも当時のビデオを通して伝わってきます。"Big pants small wheels"とはその時代のスケートシーンを象徴する言葉として知っている方も多いことでしょう。現在のトレンド、もしくはそれ以上に太いパンツ、そしてそれとは対極的なほど小さいウィールという組み合わせが当時の定番スタイル。僕がスケートを始めたての2000年ごろ、地元沖縄にはそのスタイルで滑る先輩らが多くいたこともあり、知らず知らずのうちにそれがクールなのだと刷り込まれ、自分でもそれを実践していたのも懐かしい話。
ファッションもギアも年々移ろいゆくもので、2000年代も中頃になるとみんなこぞって細いパンツを履き始め、その後は丈を短くしたパンツが一気に浸透。板だってフィッシュテールやラグビーボール型だったものが、トリックの変化に合わせてシェイプやサイズが変化。'90年代半ばは7.5インチが定番で8インチでも太いとされていたのに、現在では8.5や9インチの板だって普通に見かけるようになりました。またそれに合わせるようにトラックのサイズも変化、同時に軽量化も進んでいます。
ウィールに関しても中空で軽量化が図られたものや、中心部と外側で硬さの違うコアウィール、最近では高性能ウレタンが開発されたりと、スペックを高めるべくさまざまな取り組みが反映されてきました。僕が最近気になるのはでかいウィールを装着しつつも、どストリートな動きをかます滑りの主。ウィールがでかい、ただそれだけで足元の主張もギラリと強くなるようで、なぜだかそこにセクシーさを感じてなりません。わかりやすいところだと今最も勢いのあるスケーターのひとり、ケイダー・シラ。「でっかいウィール付けてるな〜」とは思っていたけれど、Spitfireからリリースしたての彼のモデルはストリートスケーターには珍しい60mmの極太タイプ。スケートショップのウィールコーナーでは一際目立つ存在感で鎮座しております。
かなり前ですがTKにもらった、ライザーパッドも必要不可欠な63mmのデカブツを使ったことがあるのですが、使い慣れて平常運転ができるようになるまで4ヵ月かかったことを思い出しました。「オシャレは我慢!」「やりにくくても意地でスキルでカバー」…そう信じて冒険(迷走!?)していたのですが、その扱いのまぁしんどいこと…。でもケイダーを始めとする若い世代を見ると自分のスキル不足が原因でしかないのか…。ビッグサイズのウィールが気になる人は実際に試してくださいませ。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)