東京・都心エリアでのスケートはつねに警察に通報されるものであります。街のそこらにある対象物をあらゆる形で調理する様子を、「面白そーなことやってる!」って興味深げに見てくれたり、声援を送ってくれる人もたまにいるのですが、通報され、お巡りさんが登場する場合がほとんど。おかげでスケーター側も勘繰り癖がつくわけで、その付近を電話しながら行く歩行者を見て「アイツぜってー通報してる!!」と思ったりもします。大体そういう人に限ってバッドな視線をこっちに向けてくるので、それを察知する能力も長けてくるというか。そんで、通報を受けたお巡りさんが登場する前にその場から離れるといった行動をとる場合もあります。それが最もスマートな立ち振る舞い。
そんな都心での現場に駆けつけるお巡りさんは自転車に乗ってやって来ることが多い。おそらく、住宅やビルが密集し道路の幅が狭い、一方通行の道路も多い、そんな都心エリアではパトカーを出動させるよりも、そこらに点在する交番から自転車で駆けつける方がよっぽど効率的なのでしょう。彼らを指して「チャリマツ」と言ったりもします。警察官に対するこの蔑称は、自分が上京し、仲間とストリートに繰り出すようになってから覚えた言葉でもあります。
ある時自分が帰省し友達のスケーターと会った際、何かの話のタイミングでふと「チャリマツ」というワードを出したところ、その意味が伝わらないことがありました。やがて「チャリマツっていうのは自転車乗ってるお巡りさんのことだよ」って、その言葉の意味を今度は自分が人に教える側に。ですが、友達から返ってきたツッコミに納得したのが、「そもそも自転車乗ってるお巡りさんとかいないだろ(笑)」。そうだった、地方にある僕の地元では確かに、自転車に乗っているお巡りさんを見たことがない。それが繁華街エリアにおいても。お巡りさんはほとんどパトカーで来るものでした。地元を離れ、東京で生活している(現在は千葉民)ことを実感したあの夏の日でした。夏だったかは知らんけど。
どちらにせよ、お巡りさんだってスケーターを撃退したくて現場にやって来るわけではないはずです。「一応通報入っちゃったんで…」って来ることが多い。「わざわざスケボーごときで通報すんじゃねぇ」ってのはもしかしたらスケーターよりも、都心で働くお巡りさんたちの方がよっぽどそう思っているかもしれません。国内の一部では、救急車の出動に緊急性がないと判断された場合、有料になる取り組みがスタートしたところもあるようですが、スケボーに対する通報もそうなればいいんだけどね…ならんか〜。現状はやっぱり、サクっとキメて、チャリマツさんの登場する前にネクスポへ移動…それに尽きる。それもまた難しいんすけどね。
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)