スケートでスターダムへと駆け上がり、名声を武器にスケートカンパニーや関連企業を立ち上げて成功を収める。スケーターであれば一度はそんな思いを巡らせたことがあることでしょう。いわゆる「上流階級」なスケーターになれるのは、技術のみならず運をも味方につけた限られた者のみ。さらにビジネスでも成功するのはそのまた一握り。当然のことながらスケートのスキルが一丁前というだけではダメで、ビジネスパーソンとしてのスキルや資質なくしては成功を掴むことはできません。確率論で言うと2階からどころか「20階から目薬」くらいのものなのかもしれません。もしそんな人間になれるのであればなってみたいと思いますし、言い換えるとそれは「憧れ」というものなのでしょう。
少し、スケートボードのシーンについてわかってくると「どこそこのカンパニー(または会社)は誰それが運営してて…」といった実際の滑り以外の情報も自然にインプットされてくるかと思います。もはやカンパニーのオーナーであるという情報のほうが先行し、「その人がどんなスケーターかはわからない…」ということも少なくないはず。もちろん知らないことは悪いことじゃありませんし、「誰それってどんなスケーターだっけ?」と気になった場合にはオンラインやSNSなどを開けば簡単に答え合わせができる便利な世の中です。
実際自分もそれで多くのことを知りました。スケーターとしてもビジネスパーソンとしても大成功を収めた誰もが知っているような人の、それは若かりし頃の映像も当然のように転がっているわけです。今から2、30年前のまだまだキッズであどけなく、仲間とはしゃいでいるか毎日ガムシャラにスケートしているだけのような映像のなかの彼ら。まるで何も考えてなさそうなキッズの彼らと、今現在のシーンをリードする姿を照らし合わせながら映像を観ていると胸が熱くなってしまいます!
ビッグコンテストでの活躍や驚愕のビデオパート。いよいよ世界でリードする側に食い込んでいく日本人スケーターの姿も目立ってきました。今後は世界のマーケットを先導していくような逸材へと育っていくのにも期待したいところです。それをリアルタイムで目の当たりにできるのは、ちょっとした幸せなんじゃないかと僕は思うのです。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)