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STYLE MATTERS
──コーヒーブレイク

2023.04.28

 休みの日なのに外は1日中雨。スケートバッグに板をくるみ、室内パーク or 雨スポにでも行ってニュートリックのひとつやふたつ覚えれば生産的なのですが、余程でない限りそんなモチベーションも湧き上がってはきません。大体はふて寝とネットサーフィンの繰り返し。なんだかんだ合計すると20時間近く寝てるってこともままあります。そんなことも続くと自責の念に駆られるというか、普段のルーティーンにはない何かをしようとする気にもなってくるものです。雨の降る先日は、重い腰を上げコメダ珈琲へ。ボリューミーなカツパンをあっさりたいらげ、さらにシロノワールの限定味とコーヒーをセットで。これだけでお会計2000円超、プチ贅沢というヤツであります。たまにこうやって気分を満足させるのは、わりかし自分は得意な方かと。そして常日頃探しているこのYo! Chuiの原稿のネタにもこうして応用できちゃったりするのだから一石二鳥。
 コメダ珈琲の店内は比較的静かなイメージながら、案内された席の近くからは話し声の大きなふたり組が。ちょっとハズレを引いた気分でありましたが、せっかくなのでところどころ盗み聞きしてみることに。どうやら高校のマーチングに携わっている中年男性のようです。インタビューの録音中にも見えた彼らの話す内容がなんだかスケートにも通ずるものがあり、僕は食事を頬張りながら耳をそば立てて聞いてみたのです。彼らの話す内容とはスケートで言うところの「コンテストとスタイル」談義。長い話を要約すると、彼らの携わるマーチングはコンテストに出場するのですが、上位入賞を狙うのではなく他校とは違った演出で唯一無二を打ち出しているのだと。「上位入賞を狙う重要性も頭にあるんだけど、それだとどこのコンテストも似たり寄ったりの内容になってしまうんだよなぁ、かといって現状では評価はされない…」というボヤき。上位入賞とスタイル、その両極の間で自身の擁するマーチングバンドの立ち位置に頭を悩ませている様子でした。
 「わかるぜわかるぜその気持ちー!」すぐにスケートシーンにおいての話に変換してみる。たとえば世界のビッグコンテストやオリンピックでもラン中に繰り出す選手が少なからず見られるレールトリック、ビッグスピンボードスライド。僕なんぞがやるとそこらのフラットレールでメイクできるのがやっとこさ、それを下りレールでトライしようもんなら顔着どころじゃないスラムしか想像できませんが、今やコンテストでは定番トリックのひとつとなっています。「定番」とは場合によっては他とはあまり差がつかず、コンテストにおいてももはや高得点トリックでもないと耳にしたことがあります。たとえそれが簡単にできるトリックではないにせよ…なのです。
 雨の日のコメダ珈琲で、頭を悩ましつつもなんだかんだ楽しそうな声のデカいふたり組のおっちゃん。20歳近く上に見える彼らが頭を悩ませていることは、思えば僕もハタチ近くで感じることができていました。それはスケートボードをしてるとぶち当たる出来事なのでしょう。「そのままの、自分達のスタイルでいってくれよ!」。心の中で勝手にエールを送り、お店を後にしました。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 




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