何かトリックをメイクした時には「Yeah」。自分がスケートボードをやり始め、近場の公園の駐車場をホームスポットとし、やがてストリートやパーク、コンテストにも足を運ぶようになる。それまでほとんど交友関係といえば学校内であったものが、次第にあちらこちらへ広がっていく、その中でいつからか自分もその「Yeah」なるものが自然に発せられるようになりました。それは時に口笛を鳴らしたり板で地面を叩くという動作に取って代わられるってのも、ごく自然な流れで体に染み込んでます。うーん、なんかイイじゃない、世界共通のスケートボードのこの文化。
トリックをメイクした時の「Yeah」以外にも、スケートをしてて人を褒めたり、人に褒められたりってこと、常日頃あるわけです。自分が人に言われて最もうれしかった褒め言葉、それは「プッシュが上手い」。先日のRandomでの話題にも登場した某円寺の敏腕フィルマーといえば、いくらかピンと来る人もいるだろうか。ある時に彼からそんな言葉を頂戴したのがイチバンの褒め言葉だって話。もともと近所だったこともありよく撮影で動いていたので、自分をよく知るスケーターのひとり。ヤツ曰く「特にライン中のプッシュの間合いが上手い」と。これは誰かに話したこともなければ、コッソリと自分の中で大切にしていたことだったのですが、見事それを見抜いてくれてたというか。たかがプッシュ、されどプッシュ、これが気持ちいいリズムでできないと、どうも気持ちが悪いんす。ライン中のプッシュが気持ち悪かったがため、その次に来るトリックを意図的にミスすることもあるほど(本当スミマセン)…ってくらい僕は気持ち良くプッシュすることを重視しているだけに、その核心を突いた褒め言葉は特別うれしいものがありました。
せっかくなので「プッシュ」と聞いて思い浮かぶスケートビデオをひとつ。元々はスケートアパレルであったElwoodというブランドがあるのですが、そこから発表された『1st & Hope』。ブランドでサポートするスケーターの枠を超え、今も活躍する名スケーターが多数登場。スポットでのチルスケを挟みつつ、映像の多くはプッシュでLAの街を気持ち良さげに流しているだけっていう、一般的なスケートビデオとは違ったアプローチの作品です。40分ほどの作品は全編通してBeckの楽曲がBGMとなり、その壮大なPVを観ているような気にもなります。街を行き交う人とスケーターの対比もイイ感じ。「とりあえず外出てプッシュして滑りに行きたくなる!」というのがスケートビデオに対する最高の褒め言葉のひとつだとすれば、まさにそれ。人間離れなトリックてんこ盛りの昨今のスケートビデオに目眩気味の方にもオススメします〜。
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)