
今でこそYouTubeやインスタグラムで当たり前のように長編動画やライブ配信が見れる世の中ですが、そんなものが誕生する前の時代に自分は育ってきました。YouTubeが出回りはじめた頃は「個人で撮影した数十秒の動画がインターネット上で見れる! すげー」って感じだったと記憶しています。数十秒程度のYouTube動画はあれよあれよと数分から数十分、数時間の視聴が可能に。スマホやSNSの台頭によりインスタグラム等のアプリで写真や動画を投稿するハードルもぐっと下がりました。
YouTubeが多くの人に認識され始めた頃でしょうか。当時自分は高校生だったのですが、「ファイル共有ソフト」なる類のPCのソフトも広がり始め、身内でちょっとしたブームに。今でいうスマホのアプリみたいなものですが、これがPCに無料でインストールできました。そのソフト内でさまざまな画像や動画、音楽といったファイルを画面の向こうの誰かと通信し、共有できるというもの。具体的にはWinMXやWinnyという名前のソフト。これをインストールし、設定するのがなかなかの煩雑さ。イマイチ理解できていない専門用語や謎の英語などと格闘し、ネットで調べながらやっとこさソフトを稼働することができました(Winnyは難し過ぎて諦めました)。どうにか稼働に漕ぎつけたソフトでファイルをダウンロードするも、現在のようにメールやDMに添付されるファイルを一瞬で見れるなんてことはなく、数十分から時には丸1日かかる。その上ダウンロードに途中失敗なんてこともざら。スケーターがなかなかメイク出来ずにブチ切れてデッキをへし折るがごとく、何度PCをぶっ壊そうと思ったことか。それでもYouTubeなんかじゃまだ試聴できることのなかったフルレングスのスケートビデオとか、ダウンロードして再生できたりもしたのです。さらには海外のスケートビデオにBGMで使用されている、日本じゃCDもなかなか売られてないようなアーティストの音源がゲットできたりしたんすよ。言うまでもなくそれは著作権的には問題アリなわけですが…。えぇ、もちろん男子高校生が喜びそうなエモ動画なんかもですね、しれっと。やがて時代と共にそんなソフトも姿を消していきました。
ほとんどスケートボードとは関係のないような話題となってしまいましたが、いくら頑張っても追いつけないほど情報過多になった現代になる前にはそんなシーンもあったんだということはお伝えしておきたい。残念なのが、例のソフトを使い始めていくらか経った頃、おそらくそれが原因でコンピューターウイルスが忍び込んだのか実家のPCの調子が悪くなったのと、ソフト設定のための煩雑な作業がプチトラウマとなり、以来PC操作については今なお苦手意識が強く残っているといったことでしょうか。あの頃がエモい。
—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)