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現代社会のバグ
──繋がりたい

2024.06.21

 人に勧められるがままにインスタグラムを使い始め、だいぶ長いこと経ちました。使い始めた当初は写真にあらかじめ用意されたいくつかのフィルターを選択するとそれっぽく加工され、それを投稿するくらいの機能だったと記憶しています。1枚ずつしか投稿できなかった写真はやがて複数枚の投稿が可能になり、動画の投稿が可能になり、ストーリーやそれに付随する機能、ライブ配信や共同での投稿が可能となったのはみなさまご存じの通り。「いずれは長時間の動画なんかアップできるようになるんだろーね」くらいに考えてましたが、そんな予想をはるかに上回る勢いで機能がアップデートされているわけです。「スケートボードと相性の良いSNS」と言われているインスタグラム、以前からスケーター界隈の使用率は高かったと思います。
 SNSが現代社会に普及した弊害といえば何でしょう。SNS中毒となってしまうこと。つねに溢れるモデルや芸能人、インフルエンサーなどの華やかな投稿と自分の現実を比べ、自己嫌悪に陥ってしまうこと。自分を必要以上に華やかに「映え」させるため空虚な行動に走ってしまうこと…。ニュースなどで取り上げられるのはこの辺りでしょうか。個人的には、リアルで人との距離の取り方がバグってきているようにも見えます。お互いを知った上でインスタ上でも繋がっている、でも忘れた頃にふと同じ場に居合わせるも知らぬふり…なんてことで喰らった経験があるのは自分だけじゃないはず。
 これまた困るのは、何の脈略もないところから「初めまして」をしたと思ったら、そのわずか2言3言後に出る言葉が「じゃあインスタ交換しようよ」って迫られるパターン。「もはやインスタって個人情報だからね、電話番号とか教えるのと変わらない感じ」とは某友人談。実に納得であります。スケーターの場合で言うと、初めて会って、いいセッションや会話ができた上でインスタでも繋がるのは全然いいと思うんすよ。しかしそれらすっ飛ばした上でお互いの素性も知らないまま「インスタ交換しようよ」って、そこまでして繋がりたいものなのだろうか。これ何かのバグだよねぇ?
 あんまり言うと敵が増えてしまいそうだ。まぁいいんですけど、SNSが社会に広まるちょっと前のお話をひとつ。とあるビギナーのスケーターが急にローカルパークに現れるようになりまして「初めまして」と挨拶。そしてお互いの名前や年齢を交わした次に出てくる言葉が「じゃあさ、クラブ行こうよ?」が口癖(マジで)。人との距離感バグった年上の方で、気がついたら滑ってる姿も見かけなくなったのですが、当時を生きたローカルの間では今なお居酒屋トークシットで時折話題に上がるわけなのです。あの人は今…。

—Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)
 



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