高ヤーマンに景ヤーマン、他にもいたっけな、なんとかヤーマン。苗字が●山さんだと「●ヤーマン」って呼ばれがちなのは僕の気のせいではないはず。下の名前がタカシだと「タカシメン」。少なくとも「タカシメン」と呼ばれるスケーターはパッと思いつくだけでも3人。カズヤだと「カズヤメン」…これも同じぐらいいるような。なんだか語呂も良くて言いやすい、覚えやすいで、そのように呼称される方をちょっと羨ましくも思ったりします。オレなんて謎に「きな粉棒」ですからねぇ…。そう呼ばれてることは家族だって知っているものの、いざ家族の前で「きな粉さーん!」なんて言われる状況を察してみておくれ。そりゃもうなんか変な気分なんですよう(笑)。
なんて前置きはいいとして、今日はそんな中からとある「カズヤメン」というスケーターについて。かれこれ10年近く前のことでしょうか、茨城にある坂東スケートパークへ遠征に行った際にたまたま出くわした彼は、自分より年がひとつ上で、スケボーもまだビギナーの部類。確か新宿でホストをやってたけど逃げるように茨城に移住し、スケボーを始めたって言ってたような。イリーガルな物を好んだりとスケッチー感は満載ながら、ヴァイブスは完全にスケーターなナイスメン。トランジションで滑るのが好きで、時に自分のスキルを完全にオーバーしたことをやろうとしては派手に転んだりする。以降たまに会うくらいではあったのですが、相当バリスケしていたのでしょう。見る度に上達してて、それは目を見張るものがありました。が、しかし上達してもスケボーの乗り方はどこかスケッチーで、それがまた見ていて面白く、メイクしても周りに笑いが起こってしまう…そんな稀有な存在。本人はいたってガチでスケートしてるってところがまたズルい。
自分は居合わせたわけではないのですが、DIYパーク、パプワランドでのイベントでこれまた無茶なドロップインを試みようとするのですが、当時ではおそらくオーバースキル。見かねた仲間らからは「やめてもいいよー!」の声。で、結局トライを断念するのですが、それでも拍手と歓声が。この「やめてもいいよー!」の流れに度々励まされる自分だったりします。頑張ればいけるかなー…って手の届きそうなことに、時に無茶なトライを試みがち。それで達成した時の脳汁ダクダクになれるのがスケボーの面白さだったりするのですが、それが悪手に出ることも少なくありません。そんな場面にいざ自分が立たされた時、「やめてもいいよー!」が脳裏を横切ったりするんです。やめるのも勇気のいること。これでちょっと気持ちがラクになるんです。
当のカズヤメン、気がついたらスケートしてる姿もめっきり見なくなってしまい、「あの人は今」状態。どこかでまた、自由奔放で笑いに満ちたスケートボードを見せてほしいものであります。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)