「ぼくの将来の夢は、お笑い芸人になることです!」。これは小学校の卒業式で、卒業生全員の前に立ち、壇の上でひとりひとり将来の夢について言わされたものであります。なんだか小っ恥ずかしくて親にも秘密にしていた夢を突如言ったもんだから、後からツッコミの嵐。親にも驚かれて笑われてしまい、小っ恥ずかしさはワンランク上のものに。そうそう、卒業文集にもしっかり書き残してました。「将来は東京の大学に行って、お笑い芸人になる」って。トンチンカンは今も健在、上京して大学進学もメイク。なんなら上京するときに心に決めていた「最低でも10年は東京で生活をする」という目標も難なくメイク。しかしお笑い芸人になる夢は…とっくに捨てました。
なぜお笑い芸人になりたかったのか…それは当時話題だったイギリスのコメディアン、Mr.ビーンに触発されたのと、TV番組「めちゃイケ」とか観ていて楽しそうだったから。今思うと特に自分でコントをするでもなく、漫才をディグることもなく、それはただの小学生の夢に過ぎなかったというわけです。わりと陽キャ(当時はこんな言葉は存在しなかった)を自負していたのですが、中学生となり新しい環境に身を置くことでその夢は一瞬に打ち砕かれたのでした。「オレよりウケるヤツ、めっちゃいるじゃねーか…!」
そんな感じで少し落ち込み気味で中学校生活がスタートしましたが、ほどなくして吉本、じゃなくてスケートデビューしてしまい、新たにスケーターとしての夢や希望を持ちながら今までフルプッシュしてきたところです(ゼェゼェ)。スケートボードのある生活に切り替わるやいなや、お笑い芸人への興味とやらはどこかに消えてしまいましたが、その名残のようなものは今も存在している様子。人がついニヤっとしてしまうような、あわよくば爆笑してしまうような、そんなトリックをどこかでしてみたいと常日頃思っているのです。基本的には「カッケェ」「ヤバイ」ってのがスケートボードの根底にあるべき本質だと理解していますが、「ウケる」って解釈があってもイイのかなと。
どこで見たのかすっかり忘れてしまいましたが、故ジェフ・グロッソが「keep skateboarding a joke」ってプリントされたシャツを着ていたはず。イケてる滑りもさることながら、合間合間にそんな言葉を体現するような滑りも見せてくれてきたはずです。「それを体現できるスケーターになることです…」ってのが、スケボーを卒業できないおじさんスケーターの僕の秘密の夢さ。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)