スケートビデオってひとりでゆっくり観ながらあれこれ思いを巡らすのもいいものですが、家やショップ、時に試写会といった場で仲間と観て感想を言ったり、ああだこうだ議論するのもひとつの醍醐味。自分が思ってもないような観点からの意見が聞けるのも議論という場の良さ。
さてフルレングスの作品にせよ単発のパートにせよ、感想として「思ってたより良かった!」ってのもあれば「アレっ…(汗)」っていう両方のパターンがあるはず。そんな“期待以上・期待以下"ってどうやって決まってくるのだろう。今回それについて少し考えてみました。
もちろんビデオの内容についてどう思うかは人それぞれ。しかし必要なのはスケートのビデオとして成り立たせるだけの最低限のスキル(スケーターもフィルマーも)。スケートスキルが超絶ヤバイ…に越したことはありませんが、映像の世界となると必ずしもそれだけで高評価に繋がるとも限りません。逆に突出したスキルやトリックを披露しているわけでもないのに、なぜだか多くの人に愛される作品も存在しますね。作り手についても同じで、撮影のスキルや使用機材もそうですが作風やコンセプトといったものの方がより作品の善し悪しに影響してくるのかなと。
別の観点からも見てみましょう。今から新しい映像を観るとして、その個人やチームに対して期待するイメージってあるはず。蓋を開けてみると「なんだか想像と違った…」みたいになってくると残念ながらそれはもう期待はずれ。また「今のトリック、この人からすりゃ大したことないっしょ」みたいのが続くとやはり期待以下となってしまう。たとえばそれが大手ブランドの作品で立派に宣伝・広告を打ったものですら意にそぐわないものもあるのです。逆に作品のコンセプトがイメージとバッチリ合致しているもの。「この人、やってるな〜」と迫真のトライが垣間見れるもの。ドラマを感じさせてくれるもの。そんな映像が惜しむことなく使用された作品は印象に残りやすく、期待以上だったと思えるものです。まったくのノーマーク、名前も初めて聞くようなところから出ることで一気にファンになったりもする。ディグった音源を楽しむ感覚とも似ているのかな。
いかがでしょう? この記事を書き始めてみたはいいのですが、上手く言葉で表現できていないような気もして実はちょっと歯痒い気分(汗)。しかし観ていて「スケート行きて〜」って気分にさせてくれるようなものがやっぱりベストであり期待以上の作品となるに違いない。いまだ撮影に出かけ、作品作りに関わる身としてはやっぱり期待以上のものを提示していけるようでありたい。毎日のようにスケート動画がアップされ、ひとつの作品を何度も何度も観ことが減った昨今。1発1発のトリックがより印象に残るように期待以上のことをやるのが大事になってくるのだけど、それもまぁ〜大変よね…。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)