「記録よりも記憶、いやでもやっぱり記録もしてーす!」ってな感じでひとつのフラットトリックを研ぎ澄まし中。撮影に向け、予行演習はパークでバンクイン。乗ったかと思っていたら片足が外れてしまったようで、バンクを降り切った速度のままメイクをしたのはまさかのガンチャク。いやー、イイモノ喰らいました。これまでのスケート歴でいくらか顔着というものを経験してきましたが、先日喰らったのはそれまでのとは比にならないものでした。一瞬ブラックアウトしたとすら思ったほどの衝撃で顔をぶつけ、唇はすぐさま内出血で膨れ上がり、血もタラタラ。目元も膨れ上がり、試合後の格闘家のような顔立ちに。幸いにも同時にぶつけたはずの歯が折れることなく、また手足に重傷を負ったワケでもないのでスケートは普段通りに継続可能。もうそれだけでガッツポーズ、間違いなくしばらくの間の個人的ベスト(ワースト?)スラム賞を頂いたばかりです。心残りはその瞬間を記録していなかったことくらいっす。
さて、これまで特段と大きな怪我に見舞われたこともなければ、スケート怪我自慢も大したネタを持ち合わせていない自分にとってはちょっとしたネタが生まれたと捉えるようにしています。しかし喧嘩してボコボコにやられたような、パンダみたいな顔で外を出歩くのはちょっとだけ恥ずかしい。会うスケーターには「顔着しちゃって…」で笑って済まされるのですが、側から見るとやはりボコられたようにしか見えないようです。すれ違う赤の他人からは心なしかどこか哀れんだような視線も感じてしまう(自意識過剰)。30代も半ばの人間がこの顔で出歩いているのを見て怪しく思わない方がおかしいのかもしれません。あ、ちなみに試しにスケーターじゃない友達3人くらいに「顔着」と言ってみましたが、案の定意味が通じませんでした。顔面着地でガンチャク、これもまた日本国内におけるスケートスラングのひとつと言って差し支えないでしょう。英語では「Face Plant」と言うらしいですが、これはこれで音の響きがなんだかイイですね。
出来ることならもう喰らいたくはありませんが、記録として映像に残すとそのレアさだったりインパクトの強さで印象に残りやすい点に関しては顔着のおいしいところ。2000年代にスクスク成長した僕ら世代としてはFoundation『That's life』のフォトジャケにもなったコーリー・ダッフェルとFlip『Sorry』で顔着&気絶、そして病院へと運び込まれたアート・サーリを2大顔着レジェンドとして崇めたい。なんてこと言ったらぶん殴られてまたボコボコの顔になっちゃいそーですね、てへぺろ。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)