大学の先輩で、今は仕事でサンノゼあたりに住んでいるスケーターがいるのですが、その近場で行われている新たなギア開発が斬新で面白いのでこちらで紹介したいと思います。そのエリアにあるスケートパークのローカルらによって行われているのは、新たなベアリングの開発。と、それだけだと「なんだ、また新しいベアリングのブランドができたのかね」くらいに思う方も多いことでしょう。この開発の何が画期的かって、それは「スケートボードに使用されるベアリングを、そのサイズから見直してみよう」というもの。手っ取り早く説明するとこのベアリング、従来のものよりひと回り大きい。すなわちベアリングのボールもより大きく、その数は8個と多め。そうすることにより、スムースさと耐久性を向上できたのだとか。同梱されている特殊なスペーサーを装着すればあとは普段同様に楽しむことができます。
しかしそこで問題になってくるのがウィール。従来よりサイズアップしたベアリングは通常のウィールに装着不可。なので、ベアリングとともに開発したのは穴の径を大きくしたウィール。ベアリング開発だけでも容易ではなさそうですが、同時進行でウィールまで作っちゃったというのだから驚きです。ちなみにこちらは名作と名高いSpitfireのF4を開発したエンジニアが独立し立ち上げたウィール工場で製造されているとのこと。そのクオリティに自信があるのもうなずけます。
ということでテストライド用に1セット頂き、さっそく乗り始めてみたのですが今のところ好調。ベアリングの耐久性を実感するにはまだまだ時間がかかるとして、その速さや伸びの良さ、ウィールに関してはスピードやスライドといったそれぞれに求められる性能は余裕でクリアしている乗りごこち。ブランドが拠点とするエリアで行われたテストライドでも好評で、すでに市販されているとのこと。ついでに言うと、シールドオフにすると中の球がよりギラつきイカして見えるというわけです。なので最大のハードルはやはり、「規格が統一されているスケートギアの世界にどれだけ風穴を開けられるか」ということでしょう。
Smoothie DesignsというカンパニーのSpinballというこのウィール。まだ本格的に日本上陸の予定はないようですが、テストライド用に少しばかり試せるところもあるようです。いつも安心のセットアップも心地いいものですが、新たなギアを試してみるのもひとつの冒険、楽しさです。それが今回のような、既成概念から変えようとする突飛なものであればなお良し。トリックのみならずギアにおいてもスケートボードが進化すべく、試行錯誤がなされているいい例。そんな機会を頂けたのは、嬉しいことなのであります〜。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)