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 中学生になり、仲良くなったクラスメイトからの誘いでスケートボードに…ってよくある流れでスケートに手を染めたということにしてますが、実際はその直前、小学校を卒業し中学に上がる前の春休みに、謎に手に入れたフィンガーボードがその前触れだったのでしょうか。それは今のフィンガーボードのように極小サイズのベアリングが付いたウレタン製のウィールだったり、薄い板がプライされた実際のスケートボードに限りなく近い作りのものでもない、どっかの玩具メーカーから発売されていたもの。ショッピングセンターで見つけ、なけなしのお小遣いで衝動買いしたんすよ。謎にコカコーラとコラボレートしたデザインだったそいつと、プラスチック製のバンクtoステア(ハンドレール付き)のセットで1000円ぐらいのチープシットだったんだけど、その時はまだトリックの存在も知る由もなく、程なくして部屋のお飾りとなってしまいましたとさ。
 さて実際にスケートボードをやるようになり、その世界のあれこれを覚えていく中で「これ知ってる!」という感じで見つけたのがフィンガーボードの名カンパニー、Tech Deckの製品。これまた放課後に寄ったショッピングセンターだったのですが、まさかのダイソーで100円で売っているのを発見。当時の名門カンパニーのグラフィックがいくつか並ぶ中自分が手にしたボードグラフィックはZeroのボス、ジェイミー・トーマスのモデル。当時のレールキラーっぷりが象徴される、ビッグレールでのスミスグラインドのフォトがプリントされたものだと言えば、実際にリリースされていたZeroの名作デッキのひとつとして記憶している方も多いことでしょう。ローカルスケートショップ、じゃなくてダイソーにて破格で売っていたのは、当時それほどフィンガーボードの需要がなく、市場に余った在庫が流れ流れて叩き売りされたものだと思われます。
 そんなダイソーでTech Deckを売っているのを見たのはそれっきり。いつしかフィンガーボードもしっかり市民権を得るようになって久しいです。細部までリアルに再現され、スムースに走り、またそれに特化したカンパニーがいくつも出てきている。価格だってプロ仕様のものともなれば実際のスケートボードと大差ありません。もちろんトリックも、実際のスケートボードみたく進化を続け、難解な動きには脳がついていきません。そんな今みたいになるなんて誰が想像したでしょうか。今年の夏に開催されたビッグイベント、UPRISING TOKYOではワールドクラスのスケートコンテストに並び、特設されたコースでフィンガーボードのコンテストも開かれました。優勝は10万円と、フィンガーボードのコンテストに高額賞金が出たのも前代未聞。ここまで来るとフィンガーボードの未来も明るいっすね。
 子供の玩具くらいの認識でしかなかったフィンガーボード。今は子供も、いい歳の大人までしっかり指テクを磨いておられます。フィンガーボードがメイン、スケボーがサブっていう層も一定数見られますが、ショップ店員なんかどっちも上手な指テクニシャンも多いよね。「あれ? ZeroのフィンガーボードをゲットしたYouはどーなのよ?」って声が聞こえてきそうです。実際はちょろっとフリップ覚えたぐらいでフェードアウトしたフィンガーポーザーだぜ(小声)。20年以上前にゲットした自慢のZeroのフィンガーボード、今でも捨てられることなく生き残り、部屋のデスクを彩る飾りとして活躍して頂いております、はい。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 


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