幼少期に、人間以外の昆虫やら爬虫類など、僕からの一方的な情熱に向き合ってくれる生き物たちに興味を奪われた私がそれなりに生き、続いて心を奪われたのがパンクロックでした。
パンクロックはそれまでの僕に方向性を示してくれました。それ以来、パンクとは単なる音楽のジャンルでもファッションの一部でもなく、生きていくうえでの方向性、というか姿勢、すなわちattitudeであると今でも信じて生きています。
そんな僕が憧れたバンドがTHE CLASH。はじめは周りの皆と同じようにSEX PISTOLSの奇抜で華やか、無鉄砲極まりない儚さに憧れを抱きましたが、THE CLASHに出会ってから、僕の中でのパンクは一変しました。まるでそれまでの僕の尻の青さに比例するかのように、ただ盲目的にあこがれたシド・ビシャスがもつ破天荒さよりも、ポール・シムノンがまとう静かな蒼い焔のような情熱に憧れ、バンドを結成し、ベースにのめり込んだ若かりし頃を思い出させてくれるのがこのブランド。
BRIXTONはそのプロダクトの品質はもちろんのこと、ブランドを推し進めるにあたっての姿勢がとても魅力的。その名の由来もTHE CLASHがイングランドの中でも黒人の居住率が高く、貧しいBrixton地区を歌った曲にインスパイアされているそうで、さらにその中でもこの曲は、かのポール・シムノン自らが作曲し歌う貴重なナンバー。そしてライダーとして迎えられているスケーターも一筋縄ではいかない曲者ばかり。
思えばパンクロックからたどり着き、今に至るスケートボードとの出会い。それなりに長い時を経て、いま初心を思い起こさせてくれるようなブランドに出会えるこの瞬間、時の流れを永遠たらしめるループの存在を意識せざるをあり得ません。
--TH (Fat Bros)