長きに渡りスケートフォトを残してきた写真家・井関信雄がPancake Skateboard Magazineをリリースし話題となっているのはここで説明するまでもないでしょう。「まさか知らないなんて人はいないよな?」と思いたいところですが、ある程度の時間をスケートボードにブッ込んでいる人でもスケートシーンの話題、情報なんてのを気にしない方だっているわけです。がしかしそれもまたその人のスケートライフ。とやかく言うつもりもありませんが、やっぱりスケートに関するメディアや情報、誌面を眺めることってのは、スケートライフをより充実させてくれると自分は思うんすね。
産声を上げたばかりのPancakeはスケートショップにて配布されています。実に多くのスケーターやフォトグラファー、協賛を巻き込んだ誌面はフリーとは思えないほど写真、インタビュー共にボリューミー。どのショップでも早い者勝ちでゲットできるなので、気になる方は急いでショップにGo(買い物をしてショップをサポートすることも忘れることなく)。しばらく前から何かを企んでいるということを本人から聞いていたのですが、それが実現した形。とても最高な形での有言実行は、日本のシーンをまたひとつ明るくしてくれたと言っても過言ではないはず。
そんなPancakeを取り急ぎゲットし、パラパラめくる。僕が「オッ!?」っとなったのは手塚まみのトリックだったりします。出くわすことも滅多にないストリートのアール。グラブした板をリップ上に踵一点で立ち、アールへ戻るヘッシュなトリック。スポットやトリックのスタイリッシュさもさることながら、目についたのは「Heel monster」というトリック名のキャプション。ヒール・モンスター…これまた誌面でも現場でもさほど多くは見られないトリック。「ヒール・モンスター」と呼ばれるのはなんとな〜く聞いたことはあったのですが、僕はこれにうっすらとした疑問もあったのです。「もしかしたらたまにある、日本国内だけでしか通用しない、間違えられたまま広がってしまったトリック名だったりするのではないか?」と。偶然にも僕がPancakeを眺めている際、近くにいたのはトランジションオバケの冨川蒼太。「頻繁に国内外を行き来し、滑り倒しているトミソウならきっとわかるはず!」とのことで聞いてみると、「海外でも“Heel monster”で正しい」とのこと。これにて僕の個人的未解決案件は無事に解消されたのでした。ちなみに似たトリックで、踵とテールの2点で立つトリックは「Heel block」と呼ばれるらしい。
そういやトリックの主、手塚まみはモンスターエナジーからもサポートを受けるスケーター。それにかけたトリックのチョイスが「ヒール・モンスター」だったりするとなおアツい。なんて、つい深読みしてしまう。ね、だから言ったさー、誌面を眺めるのは面白いって。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)