スケートボードの世界に足を踏み入れてからさまざまなスラング・言い回しに遭遇してはインプットし、また自分も実際にそれらを使っていくことで仲間に広めたり、コミュニケーションを取ってきました。自分がミドルティーンであった頃に学習したスケートスラングのひとつに「ヘッシュ」という言葉があります。VHSMAGのスケート用語白書を参照すると「ファッション的に小汚くラフなスケートスタイルを好むスケーター。主にコンクリ系の白人スケーターを指す」と実に簡潔で的を射た説明もなされております。スケートをする上でこの「ヘッシュ」という言葉は少なからず使用されるので、知らなかった…という人は覚えておくように!
ついでに個人的見解も付け足しておきますと、もともとコンクリ、トランジションをゴリゴリにしばき上げるスケーターを指して言う言葉だったと認識してますが、今やストリートにおいてもヘッシュに攻めたてるスケーターも多くいる印象です。イカついスポットをラフに突進していく感じでしょうか。最先端の流行りやオシャレでもない、荒削りなトリックをどこか危なっかしく乗りにいく。スケートボードを始めて間もない頃の自分はやはり正統派なトッププロの動きにばかり目が行きがちでしたが、次第にその対極にあるような、ヘッシュなスケートの持ち主にも次第に感化されたってワケ。そんでそのスケートが指し示すように、ヘッシュなスケーターたるもの、やはり格好もどこか小汚い。スケートでやっちまったズタボロの服やパンツは血や汗、土埃で汚れているのが平常運転ながら、それは都会的で最先端なオシャレよりもブレないかっこよさがあると感じてなりません。
格好のキレイ、汚いはさておき、近年はヘッシュなスケートをする女性も実に増えましたねー。女性(異性)としてかどうかはともかく、そのスケートスタイルでおじさん連中からモテる女性スケーターの数々。もはや若くはない自分から見ると「どこでどーいう育ち方すればこんなスケーターが出来上がるのよ!?」って感じの女性スケーター。男子も戦意喪失の涙目アウト。そしてそれも低年齢化が着実に進行しているんだから由々しき事態(褒め言葉)。
ほんのひと昔前には女性スケーターを抱えるスケートカンパニーって本当に数えられるくらいでした。現在ではカンパニーに女性が所属しているのも当たり前となり、その活躍も日々目にする機会が増えました。ひとえにスケートボードといってもさまざまな楽しみ方、乗り方、スタイルがありますが、この先「ヘッシュ女子」の活躍も間違いなく増えていくことでしょう。いちおじさんスケーターとして、未来が明るく感じてなりませぬ。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)