「自分で考えた設計のパークで滑りたい」。スケーターなら誰もが1度はそう考え、頭の中で妄想を繰り広げたりするのかな。自分も例外ではなく、学生の頃のノートには当時のスケートビデオや海外のビッグコンテストのコースからインスパイアされたパークのイメージを落書きしては暇を持て余したものです。そんな学生時代から20年前後経つわけですが、今や国内にパークが増え、僕が滑ってみたかったようなパークにも比較的簡単にアクセスできるようになりました。悲しむべきはスケートシーン全体のレベルも信じられないほど上がり、手の付けられないセクションも増えてきたこと(ちーん)。
先日千葉で行われたX Games。観戦には行けませんでしたが、あのコースには度肝を抜かれました。現代のコンテストコースに設置される定番セクションは踏まえたまま、和のテイストがふんだんに盛り込まれているじゃぁないですか。ステア頂上にはお寺のような建造物。城壁のようなペイント。富士山や日の丸を思わせるセクション。それらはまさに、「今仮に自分がパーク作れるのなら盛り込んでみたい」と妄想していた和風テイストのスケートパークにほかなりません。気持ち的には「先にメイクされちゃったな、チックショーっ!!」ってなところ。「なが」という、スケーターでアーティストとして活躍される方がいるのですが、浮世絵からサンプリングされた彼の絵の中では江戸時代の日本の街並みの中に、人が「ストリートスケート」をしていたり、グラフィティがボムされていたりと、過去に現代の遊びが描かれています。このX Gamesのスケートコースはそんな絵の中の世界が現実となり、コンテスト用にアップデートされたような気がして「オレもそこで滑りてぇ!」と高まらせてくれるものでした。
各種ビッグコンテストが開催される一方、小中規模のローカルなスケートパークも今や毎週の勢いで日本のどこかでオープンしています。秀逸な設計が早くも話題になる場所もある一方、これといった特徴のないありきたりな作りのパークってのも少なくないのが現状といったところでしょうか。安心してスケートできる場所が増えるのはありがたいことながら、せっかくできるスケートパーク、知恵やアイデア、遊び心をふんだんに取り入れ、楽しめる場所であって欲しいものです。スケーター以外の人が見ても、なんだかパッとする華やかさがそこにあってもいいはず。オリジナリティが重要視されるスケートボーディングのアイデンティティがパーク作りにも活きてきたら、もっとずっと楽しいはずだぜ!
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)