東京五輪のスケートボードが男女ともに大健闘、おまけに瀬尻 稜による名解説も話題が話題を呼び、ついこの前まで渦巻いていたはずの開催への不安はいったいどこへやら。街を歩いていてもスケーターらしからぬ人の口から「堀米が…」「ナイジャって…」なんて聞こえてくるし、世間でここまでスケートボードが話題になるのは「歴史が動いた」という表現がピッタリ。月並みですが、金メダル獲得の堀米雄斗、西矢 椛、銅メダル獲得の中山楓奈選手に「おめでとう、ありがとう!」とお伝えしたいです。悔しくも表彰台には上がれずに終わった白井空良、青木勇貴斗、西村碧莉の滑りもハラハラして観戦させてもらったし、合間合間に映し出される各関係者の姿に込み上げてくるものがありました。残るパーク種目も楽しみに待つとしましょう!
さてそんな熱気とは裏腹に、なにやら僕の周りには大怪我をするスケーターが多々発生しているように思います。もちろんスケーターなんてのは怪我と隣り合わせですから、やれ捻挫だカカトやヒザ強打だなんてのはよくあること。しかしそれ以上の怪我となると完治に数ヵ月〜1年近くかかるわけで、日常生活に支障をきたすだけではなく、スケートができずに悶々とする生活を余儀なくされてしまいます。そんな大怪我を負ったスケーターがやたら最近多いようで…。驚くべきことにその多くが何と言いますか、何でもないようなタイミングでやっちゃってるっていう事実。ノーコンプライやパワースライドといった初歩レベルの動きで足を骨折、小さな怪我が積み重なり突然靭帯を損傷したり、フィルマーが転んで鎖骨を折ってしまったり(カメラは無事のよう)。インスタグラムを見ていても何だか大怪我に見舞われるスケーターが増えた気がしてなりません。かく言う僕もつい今月頭に何気なくやった360パワスラで詰まって転倒、鎖骨を脱臼という失態をメイクしております。もはや新型ウイルスよりも怪我の集団伝染の方が危ぶまれてなりません。
場合によっては戦線離脱にもなりかねないスケートの怪我。落ちることもありますが、それはある種の「非日常」として上手く向き合うのがいいやり方かと。スケートに費やす時間の代わりに読書やネットサーフィン、普段あまり行かないような場所に行くってこともできるわけで、それはそれで脳内がアップデートされるような気すらします。「なるほど、スケボーしない人たちってこんないい時間の使い方できるのか!」と改めて思ってみたりもするのです。もちろん、それを捨ててでも「滑りて〜っ!」ってなるのがスケーターと呼ばれる人種の宿命なのでありますが…。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)