最近は作業用BGMとして音楽サブスクを利用したりするのですが、自分は音楽はやっぱりCDやレコードといった「モノ」として買う方が好きです。オンライン上では配信されていない、一般的には無名なアーティストによる作品もまだゴロゴロ転がっています。買って開封したときの小さな喜びや、ジャケット、歌詞カードに施されたアートワークや写真を見て何かを思ってみたり、記載されるスペシャルサンクス欄からも情報を得ることができます。ごく稀にですが、長年探していた音源や珍盤に出くわしたりするのも、YouTubeや配信では得られない楽しみだったりします。先日ふと時間を持て余した際に立ち寄ったレコードショップ。いつものごとく探していた音源やここ最近気になっていたアーティストのものを手に取りつつ、僕の目に飛び込んできた1枚、それは「スパイク・ジョーンズ」でした。
ご存じ、スパイク・ジョーンズはスケートシーンやビデオにおいて外すことのできない功績を残してきた人物。World Industries『Rubbish Heap』が自身の処女作となり、以降はGirlのファウンダーのひとりとして名作品の数々を手掛けてきました。スケートビデオ制作をきっかけに映像分野にのめり込み、数々のミュージックビデオやCMの制作、そして映画監督としてスケーター以外からも世界的支持を受けています…と、こんなことはこれまでいくつもの媒体で語られてきたことであり、僕もそんな表面的な一部分ぐらいしか存じ上げていないただの勉強不足でありますが、これを機に調べてみるとやっぱりすごい。ちょっとした動画やCMをディグるだけでも面白い。
映像分野の方だと思っていたスパイク・ジョーンズが音源も出していたとは…。これもひとつの勉強とばかりに購入し、自宅で再生しつつ歌詞カードに付された解説を読んでみると…あれれ。どうやら半世紀以上も昔に録音されているものではありませんか。そこで何かの間違いに気が付いた。そう、僕の知っているスパイク・ジョーンズの綴りは“Spike Jonze”であり、先ほど買ったばかりのスパイク・ジョーンズは“Spike Jones”ではありませんか。ジャケに“Spike Jones is murdering the classics!”とある通り、こちらはクラシック音楽を大胆にリメイク。日本盤に付けられたタイトルが「元祖! 冗談音楽大傑作大会〜クラシック編」という通り、軽快でコミカル。英語や欧米圏の文化や時代背景まで理解していたらさらに笑える作品だったのでしょう。こちらも調べてみると、ザ・ドリフターズやハナ肇とクレージーキャッツなど、日本国民にもお馴染みのアーティストにも多大な影響を与えたのだとか。
ちょっとした勘違いを機にまたひとつ新たな知識を吸収することができました。ふたりのスパイク・ジョーンズ、幸いにもそれぞれの作品がYouTubeで数多く楽しめます。たまにはスケートビデオとはまた違う、このような作品を貼ってみようと思うのでYo! Chuiしてみてください〜。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)